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第一話 鮮やか過ぎる空の蒼、そして、向日葵だけが優しく微笑む
海岸線が遠く迄見える小高い丘の上、ミツルが風に吹かれながら揺れる一面のヒマワリを眺めている。
『ミツぅ・・・』
耳を掠める風の囁きが、ハルナの声を思い出させた。
思わず空を見上げる。
鮮やか過ぎる空の蒼が、ミツルの胸を締め付けた。
「ハルナ・・・」
ずっとずっと胸の奥にしまっていた名前を口にする。
我慢していた気持ちが、涙となって溢れ出した。
《ハルナ、お前は幸せだったか・・・?俺はお前を少しは幸せに出来たのかな・・・?》
風が優しく吹いた。
『ウチは、アンタと出会って、幸せやったよ・・・、ミツぅ・・・』
ハルナの幻がミツルに告げる。
振り返って、いるはずのないハルナを探した。
ひまわりだけが、ただただミツルに優しく微笑んでいる・・・。