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私の狼

 その日の放課後、私はいつも通り一人で学園の森へ向かった。


 昼の食堂での騒動の事は教師にやんわり注意されたけど、強く叱られる事はなかった。先生たちもお祖父様を恐れて、私には遠慮しているのだ。

 調子がいいけれど、教師からのお説教が簡単に済むのならお祖父様の孫であるのも悪くないなと思う。


 しばらく森の小道を歩いて奥へと進み、少し開けた場所で辺りを見回す。

 彼はもう来ているかしら?


 そう考えたところで、彼――私の狼は、ゆっくりとした足取りで森の木々を縫い、こちらに近寄って来た。


「イライアス!」


 私は喜びの声を上げて狼に駆け寄り、地面に膝をついて彼の頭を抱きしめた。

 昼間の騒動から私はずっと気を張っていたらしい。今、彼の姿を見て、やっとホッとできた気がする。

 

「今日は疲れたわ」


 大人しく私に抱かれている狼の毛に顔を埋めて言う。灰青の毛は、陽に当たった枯れ草のようないい匂いがした。


「でも、あれでよかった。魔力の放出のコツも掴めたし」


 そこで狼が文句を言うように小さく唸ったので、私は顔を上げた。

 彼は私に向かって、「立て」というように顎を持ち上げる。


「顎で指図しないでくれる? 私を誰だと思っているの?」


 冗談を言いながら、素直に立ち上がった。

 すると狼は――


「あの圧迫感は魔力だったのか」


 獣から人へと姿を変えて、そう呟いた。


 私の狼――イライアス・ウォーは、完全な獣の姿をとる事もできる珍しい獣人なのだ。


 獣人は獣人と呼ばれているものの、見た目は人間とほとんど同じで、そこから姿を变化させる事はできない。

 だから狼に変われるイライアスは特異体質という事になる。

 私は先祖返り(アポカルト)症候群の一種ではないかと思うのだが、はっきりした事は本人にも分からないらしい。


 一応獣人たちの間ではイライアスのような特異体質の事を“完全変形体質”と呼んでいるらしいけれど、その完全変形体質の獣人は先祖返り(アポカルト)症候群の獣人よりずっと少ないので研究は進んでいない。

 というか、特に研究はされていない。

 わざわざ獣人の体の事を調べようとする普通の人間はまずいないし、獣人たち自身も自分たちの事を深く研究しようと思わないみたい。彼らは一般的に、頭を使うより体を動かす方が好きだから。

 

 完全変形体質の獣人は珍しいがゆえに、獣人の中でもその存在を知らない者が多い。だから人間は尚更、そんな体質の獣人が存在するなんて事は知らない。

 イライアスのこの特異体質を知っている学園の生徒は少ないし、獣人の生徒でも全員が知っているわけではないらしい。

 私は人間の中では、唯一イライアスの体質を知っている生徒になるだろう。

 狼は見慣れれば犬のようで可愛いし、私は彼のこの体質を歓迎している。


 だけど一つ難点があるとすれば……服の問題だ。

 

 私はこの問題に直面するのはもう何度目かになるので、イライアスが人の姿に変わった瞬間、さっと顔を背けて視線を彼から外していた。

 イライアスは今、全裸だからだ。

 

「少し息苦しいような感じがした。魔術を使っていたのか?」

「術は使っていないわ。魔力を体の外に出す事で……ねぇ、話をする前に服を着て」


 私の頬は今、赤くなっているに違いない。

 どうして裸の人間よりちゃんと服を着ている人間の方が恥ずかしがらなければならないの?

 首から上だけを見るようにしてイライアスを睨んでみるけれど、本人は堂々としたものだ。私に見えないだけで立派な衣装を身に着けているんじゃないかと錯覚しそうになる。筋肉質で引き締まった体だから、見る人によっては眼福な光景なのかもしれないけれど。


「制服をどこで脱いできたのよ。無くしたら、またあなたのお父様に叱られるわよ」


 なかなか制服を探そうとしないので、私は目をつぶって照れながら彼を急かす。

 この森で放課後、狼の姿で思いきり駆け回るのがイライアスの楽しみらしいのだが、体に合わなくなるので服は変身前にいつも脱いでいるのだ。

 人前で変身する機会は今のところないらしいが、もしそんな状況になったら必ずどこかに隠れて服を脱ぎ着してねと言い聞かせている。

 面倒くさそうにため息をつきつつもイライアスはやっと服を着に行ってくれたようで、足音がだんだん遠ざかっていった。


 イライアスが自分の服を探している間、私は彼の正体を初めて知った時の事を思い出していた。

 私がこの森で万年筆を落としてから狼に興味を持ち、何度か会いに行くうちに、イライアスはその正体を明かしてくれたのだ。

 きっと「よしよし」と可愛がられたり頭にキスをされたりして、居たたまれなくなってきたんだと思う。


 しかし変身してイライアス・ウォーである証拠を見せてくれた彼に、私は悲鳴を上げた挙句、思いきり頬をぶってしまった。

 翌日には謝りにまた森へ行ったけど、一番手っ取り早い方法とはいえ、いきなり全裸になったイライアスもどうかと思う。


 けれど、それから私たち二人はさらに心を許し合い、イライアスは尊敬するお父様の話をしてくれたし、私もお祖父様に心の中で反発している事など、自分の秘密を打ち明けるに至った。イライアスは必要以上に驚く事なく、いつも静かに話を聞いてくれた。

 それまでは誰かに自分の野望を打ち明けたり、秘密を吐露する事はなかったから、イライアスに話せて嬉しかった事を覚えている。

 

 私の狼は、いつの間にか秘密を共有する協力者となり、頼れる友となり、そして恋人になっていた。

 告白された日の事は……恥ずかしいから振り返るのはやめておこう。


 と、私が過去に思いを馳せて一人で赤面していたところで、イライアスは戻ってきた。

 ちゃんと自分の制服を回収してきたようだが、身につけているのは下着とズボンだけだ。

 しかもそのズボンさえまだちゃんとベルトをしめていないので、今にも腰からずり落ちるのではないかとひやひやする。


「ちゃんと着てから来てって、いつも言ってるのに」


 イライアスは片方の唇を持ち上げて少し笑いながら、制服のシャツに腕を通した。

 そうして私の前に立つと、視線だけで私にお願いをしてくる。


「いつの間にか恒例になりつつあるわね……」


 私は諦めて、イライアスのシャツのボタンを留めてあげた。一度やってあげたら、それ以降毎回頼んでくるのだ。

 本当に私を誰だと思っているんだか。普段はメイドに服を着せてもらう立場なのに。

 お返しとばかりに一番上まできっちりとボタンを留めると、イライアスは少し嫌そうな顔をして上から二つ目までのボタンを外す。


「ネクタイもやってあげるから、あなたはベルトを締めて。そっちは絶対手伝わないわよ。……待って、シャツをズボンの中に入れてからでないと」

「もう家に帰るだけだ。入れなくてもいいだろ。窮屈なのは嫌いだ」

「わがままで困るわね」


 イライアスのお母様も苦労された事だろう。

 と思いつつ、苦しくないようにネクタイも緩く締めてあげた。

 ……私がイライアスを甘やかしているのかしら。


「ところで、昨日の演習の事だけど……」


 話を変えて、イライアスを睨む。


「一体どういうつもり? あなた手を抜いていたわよね。前回、いいえ、前々回からそういう傾向はあったけど、今回は他の生徒たちも気づいていたわよ。“表”では絶対に私に優しくしないでって言ったはずだし、それを抜きにしても演習で手加減されるのは屈辱だわ」


 私がこれまで演習でイライアスと対戦した結果は、“二勝二敗一引き分け”だが、その内の二敗――つまりイライアスが私を負かしたのは私たちが森で出会うまでの事で、親しくなってからは引き分けになり、ほどなくして私に一勝を譲った。そして昨日のあの演習だ。

 

 それに最近では、イライアスが私を見つめ過ぎているのも気になる。食堂など一緒の空間にいる時にふとイライアスの方を見ると、彼はすでに私の方を見ていたという事が多々ある。

 この学園に入った当初、まるで相手にしていない感じでイライアスは私の方をほとんど見ていなかったし、私と目が合っても面倒そうに視線を外されていたのに、その時と差があり過ぎる。もう少し芝居をしてほしい。


 イライアスは気持ちが顔に出る方ではないので、他の生徒がイライアスの視線の先に私がいる事に気づいたとしても「警戒して見ているんだな」程度にしか捉えないだろうけど、万が一二人の仲が露見したらと思うと恐ろしく思う。

 お祖父様に知られれば、わりと真面目にイライアスの命を心配しないといけないから。


「聞いているの?」


 風が気持ちいいな、とでも言い出しそうな雰囲気で横を向いているイライアスに詰め寄ると、彼は悪びれもせずにこう返した。


「周りには気づかれないよう気をつける。あまり熱心にお前を見ないようにする。それに演習では真剣に対戦している振りをする。……だが、振りだけだ。ビーを侮っているわけじゃないが、本気は出せない」


 ビーというのは、私の愛称だ。お祖父様が「ビービー」と呼んでくるのは恥ずかしいからやめてほしいけれど、イライアスに親しげに「ビー」と呼ばれるのは悪くない。

 しかし今は、彼の話した内容に眉を吊り上げてしまう。


「ただの演習よ」

「それでも無理だ」


 イライアスは軽く眉根を寄せた。


「昨日だって転んだお前をとっさに庇わないよう、自分の足を動かさずにいるのにどれだけ苦労したか。ビーこそ、俺に手を抜かれたくないならもっと気をつけて術を使ってくれ」


 何故か私が叱られるはめになっている。しかし昨日の演習で尻餅をついたのは、私の読みが甘かったためなので言い返せない。

 チーナと廊下や食堂でぶつかった事も持ちだされ、「校舎を歩く時ももっと周囲に気をつけるべきだ」としばらくお説教が続きそうだったので、私は慌てて話題を変えた。


「その話はもう終わりにしましょう。それよりこれ、忘れないうちに渡しておくわ。第二弾よ」


 私が取り出したのは、明るいオレンジの小さな石がついた一組のピアスだった。

 イライアスはお説教をやめてそれを受け取る。

 

「チーナにあげて。ピアスは開けていないようだったからイヤリングにしようかとも思ったけど、外れやすいから。ピアスを開けるよう勧めておいて」

「……チーナがどれだけ喜ぶか。恩に着る」


 真面目な顔でイライアスは言った。


「やめてよ。あなたやチーナに頼まれたわけじゃないのに、私が勝手にやっている事よ」


 このピアスには私が開発した魔術がかかっていて、これをチーナがつければ、大きなネズミ耳が普通の人間の耳に変化する。

 つまり先祖返りしている部分を目立たなくする事のできるピアスなのだ。

 以前、毛むくじゃらの熊の足を持つテイド・グルーに渡した靴下も、先祖返り(アポカルト)隠しの魔術が掛かっているものだった。

 

「そういえば今日、食堂での騒ぎの前にテイド・グルーと廊下で擦れ違ったのよ。勇敢にもパジーたちを引き連れた私に声を掛けてきたんだけど……ねぇ、私があの靴下を用意したんだって事、彼には言っていないわよね?」


 先祖返り(アポカルト)症候群で苦しむ獣人のためにそんなものを作っているなんて、今はまだイライアス以外の人に知られるわけにはいかないのだ。

 噂が広まれば、いつか必ずお祖父様の耳にも入ってしまうから。


「いや、テイドにはしつこく尋ねられたが、本人が名を明かすのを嫌がっているからと言っておいた。だが、もしかしたら感づいたのかもしれないな」


 イライアスは思案して、続ける。


「俺とビーが放課後にこうやって会っている事は、俺たち二人以外誰も知らない。皆、俺たちは仲の悪いライバルだと思っている。テイドもそれは同じだ。俺からビーを連想するはずはない。だが、高度な魔術がかけられたあの靴下を作れる人物はと考えたら、人数はある程度絞れてしまう。特に学園内では、魔術の教師かビーくらいしかいないんじゃないか」


 確かにこの学園の生徒の中では、私が一番魔術の成績がいい。お祖父様から叱られないように優等生であり続けているから。

 ただ、陣を改変するだけじゃなく、独自の魔術を開発できるほどのレベルだという事はイライアスしか知らないが。

 イライアスは独り言のように続ける。

 

「となると、俺の『本人が名を明かすのを嫌がっている』という返事がまずかったな。テイドにヒントを与えてしまったようなものだ。獣人を助けて名を明かすのを嫌がるのは、ビーくらいだからな」

「確かにそうね……」


 テイドに気づかれていたとしても、私はしばらく知らないふりをするしかない。

 

「チーナには、俺の父親の知り合いの魔術師からだとでも言っておくか」


 イライアスは手に持っている制服のジャケットに、ごそごそとピアスを仕舞った。

 私はすぐ後ろに生えている木に背中を預けながら、僅かに片眉を上げて言う。


「チーナといえば、随分あなたと…………いいえ、馬鹿みたいだからやめておくわ」

「どうした?」

「何でもない」


 唇を少しだけ噛んでそっぽを向くと、イライアスが意地悪に笑った気配がした。


「俺とチーナが、随分仲が良いように見えたか?」


 目をすがめて睨みつけると、イライアスはますます嬉しそうに笑みを深める。


「ビーにやきもちを焼かれたのは初めてだな。安心しろ、チーナはただの友人だ。何もない。俺にはお前しかいない」

「知ってる」


 強気に、そう返しておいた。

 イライアスは獣人にはもちろん人間にもモテるから、引く手あまただっていう事は分かっている。

 けれど、そう、今のところイライアスに想われているのは私だけなのだ。


 イライアスは上機嫌で喉を震わせて笑い、私を抱きしめた。

 そして今度は、私を抱きしめたまま真面目な声で言う。

 

「……そろそろ動き出すつもりなのか?」


 私はイライアスの胸板に頬をつけ、体を預けた。


「いいえ、まだよ。今日の食堂での一件は、成り行きでああなっただけ。前にも言ってある通り、最低でも学園を卒業して成人するまではお祖父様に逆らうつもりはないわ。安心して」


 私はイライアスの背に腕を回し、イライアスは私の肩に顔をうずめる。


「そうか」


 イライアスは心配しているのだ。十分に準備をしないままお祖父様に反抗して怒りを買い、私が辛い目に合う事を。

 再教育だけでは済まないだろうから、屋敷の地下に幽閉でもされるんじゃないかと私は思っているんだけど、もちろんそうならないよう計画を立てなければならない。

 

「腕力には自信があるが、俺にはまだあの爺さんと社会的にやり合えるだけの権力なんてないからな。お前に何かあったら……今の俺では、お前を連れ去るくらいの事しかできない」

「私はあなたを巻き込むつもりはないんだけど……ええ、分かってる。言っても聞かないわよね」


 私を抱きしめる腕の力が強くなったので、諦めて呟いた。

 イライアスにはイライアスの人生があるから、と言っても彼は納得しないし、私も正直、イライアスが力になってくれるのはすごく心強いのだ。


 ヴァイオレット、リーチェ、そしてイライアス。

 今のところ、私の信頼できる味方はこの三人というわけ。

 一人で何でもやるつもりだったから三人も味方ができたのは予想外だったけれど、とても嬉しい。

 お祖父様を説得して学園に入ったかいがあるというものだ。


 将来有望なイライアスは、すでに卒業後は軍に入る事が決定している。軍の中には獣人部隊が設けられているので、そこに配属される事になるだろう。

 ちなみイライアスの父親は、その部隊の司令官だ。


 しかしイライアスは軍に入ればその父親よりも強くなるだろうし、彼以上の功績を上げると私は確信している。

 学園内の演習などでは他の生徒に深刻な怪我を負わさないように力を加減しているのに、それでも一番強いのだから。


 積極的に前に出るタイプではないけれど、いざという時は先頭に立って皆を引っ張っていくし、きっと軍に入ったら今以上に評価されると思う。

 いくら出世しても、イライアスが公爵であるうちのお祖父様と同等の地位を持つ事は無理だが、国民や王族から頼られ、好かれて、爵位とはまた別の力を得ていくだろう。


 何年後の話かは分からないが、この国に欠かせない人物になるであろうイライアスの事を、私も頼りにしている。

 イライアスはきっと私の力になってくれる。


「ごめんなさい、イライアス。遠慮無く巻き込ませてもらうわ。私も時々、お祖父様の事や公爵令嬢という立場は全て捨ててあなたに攫われたいと思う事もあるけれど、やっぱり自分の野望を叶えたいの」


 差別をなくして、獣人も人間も幸せに暮らせる領地をつくりたい。

 その野望を捨てて、イライアスと一緒に逃げる事はできないのだ。チーナのように泣いて素直に助けを求めるのは、私には難しい。

 

「分かってる。好きにしろ。ビーの望みは俺の望みだ」

「ありがとう。実はね、ヴァイオレットとリーチェにも私の野望を打ち明けたのよ。あなたとの事は、まだ言っていないけど」

「そうか」


 私は言いながら体を離そうとしたけれど、イライアスの腕の力が強くて無理だった。

 いつまでこうしているつもりなのかしら、と思ったところで、唐突にイライアスが顔を上げて私からパッと手を離した。


「どうしたの?」

「悪い、肘の事を忘れて思いきり抱きしめていた」


 主人の顔色をうかがう飼い犬みたいに、イライアスは焦って眉を下げた。その表情が可愛くて笑ってしまう。


「大丈夫よ。服に擦れると少し痛むくらいだから」

「治療してないんだな? お前、他の生徒には医務室に行けと言っておいて自分は行かなかっただろう」

「よく見てるわね」


 嫌味のつもりで言った。やっぱり私を見過ぎている。

 しかし「治療するまでもないわよ」と続ければイライアスにじろりと睨まれてしまったので、「帰ったらメイドに手当てしてもらうから」と付け足しておいた。

 ちなみにスープの染み込んだ制服は脱いで、教師に貰った予備の制服に着替え済みだ。この制服はそのまま私のものにしてしまって、新品の制服を五着ほど寄贈することにしよう。


「メイドが怪我を診られるのか?」

「この程度のものなら大丈夫よ」


 心配症なイライアスを黙らせるために、今度は私から彼に抱きついた。

 すると思惑通りにイライアスは静かになって、肘に当たらないよう気をつけながらそっと私を抱きしめ返してくる。私の狼は扱いやすい。


 素直で愛しいこの人と、いつか他人の目を気にせずに、堂々と愛を伝え合えるようになれたらいい。


 うちのお祖父様の事も、イライアスが獣人だという事も、私が公爵令嬢だという事も関係なく。


 時間が過ぎるのを惜しむように、夕日がゆっくりと沈んでいった。






「キスは……?」

「調子に乗らないのよ」


 

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