公爵令嬢の胸の内
「おはようございます、ベアトリス様」
「おはよう、ヴァイオレット、リーチェ、パジー、ウィンカ、マリー……」
深紅と黒のちょっぴり趣味の悪い馬車で登校すると、学園の広い玄関前では、すでに私の取り巻きの五人がずらりと並んで立っていた。
毎朝わざわざ待っていなくていいって言ってるのに、聞かないんだから。
そんな事を思いつつ、私は長い黒髪をなびかせて彼女たちの方へ歩いていく。
「お鞄をお持ちします」
「ありがとう、ヴァイオレット」
これも断ったって聞かないので、言われるままに任せてしまう。ヴァイオレットは無口な子だが、荷物持ちや扉の開け閉めなどは頼んでもいないのにいつも率先してやってくれる。有り難がればいいのか迷惑がればいいのか迷うところだ。
と、その時、
「見ろよ、ベアトリス・ドルーソンだ。公爵令嬢様が、また取り巻きに荷物持ちさせてるぜ」
離れたところにいる生徒たちのひそひそ話が、聞きたくないのに耳に届いた。
けれど陰で好き勝手に言われるのは、名家に生まれたならばある程度は仕方のない事だと聞き流す。いちいち腹を立てていたらきりがない。
この学園の生徒たちは、私に対しての行動から四つのグループに分ける事ができる。
一つ目は、公爵令嬢である私に媚びへつらってくる者たち。
取り巻きの中ではパジーとウィンカ、マリーがこれに当たる。あまり信頼してはいけない。
二つ目は服従してくる者。
取り巻きではヴァイオレットとリーチェがこれに当たると思う。ヴァイオレットは行き過ぎの部分もあるので困る事もあるが、この二人はわりと信用している。
三つ目は敬遠する者たち。大多数の生徒はこれだろう。
公爵家のお嬢様のご機嫌を損ねでもしたら何をされるかわからない、という感じで皆ほとんど話し掛けてきてくれないのだ。実はかなり寂しい。
そして四つ目は、恐れ、嫌悪してくる者たち。
これは『獣人』と呼ばれる生徒たちに多い。
たとえば……
「ちょっと邪魔よ。どきなさい」
校舎の廊下を歩いていると、先頭を歩いていたパジーが鋭い声で言った。
私たちの集団の前にいたのは、一人の獣人生徒だったのだ。
獣人とは、遠い祖先が獣だったといわれている人間の事で、嗅覚が優れていたり身体能力が高かったりといった特徴を持っているけれど、見た目は普通の人間と変わらない――通常は。
「獣はちゃんと足を拭いてから中に入りなさいよ」
「汚いわね」
目の前にいる大柄な男子生徒は、ウィンカとパジーに睨みつけられて小さくなっていた。
彼の足首から下は、黒い毛に覆われた熊そのものの足だったからだ。
靴が入らないのでいつも裸足で歩いているらしい。
これは『先祖返り(アポカルト)症候群』と呼ばれる症状で、獣の特徴が見た目に出てしまっている人たちにこの名がつけられているけれど、特に治療法などは発見されていない。
彼らは普通の獣人よりも目立つため、いじめられやすかったり迫害されやすかったりする。
なので、なんとかその部分を隠して生活している者が多いのだが、彼のような熊の足では、サイズに合った靴を作ったとしても、どの道その大きさから気味悪がられる事になるかもしれない。
今までもきっと苦労してきた事だろう。
「廊下が汚れてしまってるじゃない。これだから獣人は……」
「いやぁね」
ウィンカやパジーが笑うと、周りで事の成り行きを見守っていた生徒たちも、ちらほらと笑い声を上げ始めた。
体格のいい獣人の男子生徒が恥ずかしそうに肩をすくめるのは、見ていて居た堪れない。足は確かに毛に覆われているけれど、しっかりとした筋肉をまとって清潔感もあるし、堂々と背筋を伸ばせば格好良く見えるはず。
そうアドバイスをしてあげたいと思いつつも、私は余計な事を言わないよう唇を引き結んだ。
私には“とある理由”があって、あまり大っぴらに獣人の味方をする事ができないのだ。
「行くわよ」
結局、私は熊の足を持つ男子生徒に声を掛ける事も、ウィンカとパジーを諌める事もせずに、それだけ言ってその場を去る事にした。
「はい、ベアトリス様」
「獣人なんかに時間を割くのは無駄ですものね!」
そういう意味じゃないったら、パジー。
こういう場面で困るのは、私は何もしていないし何も言っていないのに、周りの生徒たちからは私が悪の親玉みたいに見えるって事。
正直、あの熊足の裏を確認して肉球を触ってみたいとすら思っているというのに、誰も私のそんな思考には気づかずにいじめの主犯だと認識するのだ。
とはいえ、何もしない、何も言わないというのは、パジーたちをしっかり止める事もしていないという事でもあるから、悪者に見られても仕方はないのかもしれない。
原因は私にもある。
けれど先程も言ったように、それには理由があるのだ。獣人を庇うような真似をしたら、私はおそらくこの学園にはいられなくなるから。
私のお祖父様はかなり過激な獣人差別主義者である。
獣人なんて力だけが強い馬鹿ばかりで、自分たちより劣った生物だと本気で思っている。
そしてそんなお祖父様は、獣人の生徒も通うこの学園に私が入学するのを最後まで反対していた。
しかし私は小さい頃から家庭教師をつけられて家の中でばかり勉強してきたので、数年くらいは学校に通いたいと何とかお祖父様を言いくるめて、去年無事にこの学園に入学したのである。
王都にあるこのウィンター学園は、14歳~18歳までの若者が通う四年制の学校で、私は二年から編入し、この春から三年生になった。
国の中でも優秀な生徒が集まる学校だが、一方で能力の低い貴族や商家の子どもが経歴に箔をつけるために入学してくる事も多い。
私はここで親しい友人をたくさん作れればと密かに夢を見ていたけれど、他の生徒たちに歓迎される事はなく、入学初日には後輩はもちろん、同級生も先輩たちも私を見て戦々恐々としていた事を思い出す。
グルズ・ドルーソンの孫娘がついにこの学園に入学してきてしまった――という感じで、獣人生徒たちには絶望感すら漂っていた。
そして悲しい事に、私が近くにいると、周囲の生徒たちは今も緊張するようだ。
編入から一年経っても、私は学園に馴染めずにいる。
もしかしたら顔つきも影響しているのかもしれない。猫のように気の強そうな目をしているものだから、何も言わなくても相手は威圧されるらしいのだ。
もうちょっと、こう、弱々しい仔リスのような顔立ちだったらよかったのだろうけど。垂れ目の優しげな瞳などには本当に憧れる。
話が逸れた。
とにかくお祖父様が面倒な人なので、私が獣人を庇ったなんて知れたら、
『うちの可愛いビービー(恥ずかしい私の愛称)が獣人なんぞに絆されたのは、獣人と一緒の学園に通っているからだ!』
と学校を辞めさせられる可能性が高いのだ。
そしてその後に待っているのは、家に軟禁された上での徹底的な人間至上主義の教育かもしれない。考えただけで吐き気がこみ上げてしまう。
お祖父様がこれだけ獣人を見下し、嫌うのは、彼らがほんの六十年前まで世界中で奴隷として人間たちに使役されてきた過去があるからだ。
お祖父様も子どもの頃まで当然のように獣人奴隷を従わせていて、その“異常な常識”を手放せずにいるから、今では人権を取り戻した獣人たちに勝手に腹を立てているのかもしれない。
ところで何故強い獣人たちが人間の奴隷に落とされたのかというと、まず一つ目の理由として、獣人と人間とでは魔力量に差がある事が上げられる。
獣人も僅かに魔力を持っているのだが、獣人以外の人間はもっと多くの魔力を体に宿していて、魔術師ではない人間でさえ簡単な魔術を操る事ができるのだ。
また、人間に比べて獣人の方が人数が少ない事も大きな理由になるだろう。
この学園でも、一学年六クラスのうち、獣人のクラスは一クラスしかない。
獣人がどんなに力持ちでも、足が早くても、鼻が良くても、多勢に無勢で人間に負ける事もあるし、一度服従の魔術をかけられてしまえば逆らう事はできなくなるのだ。
獣人たちは魔術で屈服させられ、人としての尊厳を奪われた。そういう暗黒の時代があった。
奴隷解放から六十年経ち、だんだんと人々の意識も変わり、あからさまに獣人を差別する人は少なくなった。元々獣人に同情していた人間もたくさんいたのだろう。
街では獣人も人間と同じように生活ができるし、両者は友達や夫婦にもなれる。
ちゃんと獣人の人権を保護する法律ができたので、不当な扱いを受ける事は基本的にはない。
けれど、まだまだ差別は残っている。この学園の中だってそうだ。
獣人の生徒は居心地の悪い思いをする事が多々ある。
(その第一の理由が“私がいるから”っていうのは泣けるけど)
ドルーソンの孫娘がいるのだからと、学園全体が『獣人と親しくするのはやめた方がいい』『獣人をからかったりしても大丈夫』という空気になっている気がする。
私が獣人の生徒をいじめたり、差別的な発言をした事はないのに、周りは勝手に祖父と同じ獣人差別主義者なのだろうと決めつけているのだ。
けれど私はお祖父様とは違う。むしろ彼を反面教師にしてきたつもりだ。
家族としての情はあるし、可愛がってくれる事は嬉しいけど、差別的なお祖父様の考え方には同意できない。
獣人も人だし、私たちと比べてどちらの方が優れているかなんて考えるのは無駄な事だ。
どちらにも欠点があり、どちらにも優れているところはある。
お互いに補い合いながら、同じ社会で生活していければいいと思う。
(――なんて、こういう事をはっきりと自分の口から言わないから、今の状況を招いているんだけど)
この学園は獣人は獣人同士、人間は人間同士で行動していて、お互いの存在を認めていない。
クラスも別れて授業をするから仲良くなりにくいというのもあるけど、人間と獣人との間にある溝は、私がこの学園に入学した事でより深くなったようなのだ。
だけどまだ、私もお祖父様に逆らうような行動は起こせない。
いまだ現役で仕事をしているお祖父様は、国内ではもとより隣国などでも顔が利く権力者だ。
横暴で頑固だけど、その強気な態度を頼もしく思う支持者が多くいる。そして逆らう者は社会的に消される事もある。
私が逆らったとしても存在を抹殺される事はないだろうけど、どんな再教育を施されるかは分からないし、お祖父様と同じ思想を持つ貴族に嫁がされたりもするかもしれない。
獣人の生徒たちには申し訳ないけれど、私は私で危うい立場にいるので、今は自分の身を守る事を再優先にしている。
十八歳の誕生日を迎えて成人し、この学園を無事に卒業、学生という身分から脱出してからでないと、お祖父様に意見したって一笑されて終わりなのだから。
「ベアトリス様! 先週の試験の成績上位者が貼り出されているようですわ!」
マリーがわくわくした様子で前方を指差した。
「ベアトリス様は今回も一番に違いないですわね」
「ええ、もちろんよ! ベアトリス様ほど優秀な方が他の生徒に負けるはずがないわ。そうでしょう?」
「そうよね、ドルーソン家の血を継いでいらっしゃるんだもの。この学園で一位を取る事くらい当然だわ」
マリー、パジー、ウィンカがかしましくお喋りをする。
この三人は普段からやたらと私を持ち上げるので、プレッシャーを感じずにはいられない。私に恥をかかせたくてわざと大げさに褒めているんじゃないかと勘繰ってしまう。
けれど公爵令嬢として周りから注目されるのは分かっていたから、小さい頃から勉強も魔術も真剣に努力してきたつもりだ。おかげで今のところ恥をかいた事はない。
残り二人の取り巻きであるリーチェとヴァイオレットは他の三人とは若干仲が悪いので、彼女たちの会話に加わる事はなかった。
その代わりリーチェは可愛い顔をして、
「ベアトリス様、前回は圧勝でしたけど、前々回は二位とは僅差でしたよねぇ。今回は抜かれてるかも~」
なんて天使のような声で煽ってくる。人の事は言えないけれど、性格が悪い。
しかし私がちらりと睨むと、「やーん、睨まれたぁ」なんて喜んでいるから、私はリーチェがよく分からない。
ちなみにヴァイオレットは私の鞄を大事そうに抱えたまま何も言わない。
今までいた事がないから分からないけど、友達ってこういうものなのかしら?
気を取り直し、廊下の真ん中にある大きな掲示板に近づいていく。
結果が分かる前は、さすがの私もいつも少し緊張する。
(今回はどうかしら……。教養学と魔術史は完璧だったと思うんだけど)
掲示板には人だかりができていたが、私を目に入れると皆そそくさと場所を開けた。そんなに離れなくてもいいのに。
私は掲示板を見上げると、まず一番上に視線を向けた。
たとえ一位でなくても、上から確認していった方が早く自分の名前に辿り着けるからだ。それくらいの自信はある。
「ベアトリス様! 一位ですわ!」
「さすがです!」
パジーたち三人が手を叩いて褒め称えてくれた。
成績上位者の名前が並ぶ一番上には、確かに『ベアトリス・ドルーソン』という私の名前があった。
入学してから試験で一位を取るのは当たり前のようになっているが、やはり何度取っても一番というものは気持ちがいい。
周りにいた何人かの生徒が近づいてきて、「おめでとうございます!」「さすがです」と声を掛けてくれる。
「ありがとう」
私はほほ笑みを浮かべてそう返しながら、彼ら、彼女らの顔をチェックする。あの子はパジャール伯爵家の子、こっちの子はフルトリュー男爵家の子。
一般市民もたくさんいるけど、由緒正しいこの学園には貴族の子弟たちも多く通っている。
畏れながら、私が兄のように慕っている王子殿下も、数年前には一年だけここに通っていたとか。
学園内では貴族特有の社交術も必要になってくるから、私を褒め称えて持ち上げてくれるのもお世辞である可能性が高く、いちいち本気で浮かれたりはしない。
だけど頑張っていい成績を修めていると、時々目を輝かせて私を見つめてくれる子が出てきたりもする。
「あの、おめでとうございます。尊敬してます……!」
少し地味めな女の子にそう告白されて、私は思わず顔をほころばせてしまった。これはたぶん、純粋な気持ちから言ってくれているんだろう。
「ありがとう」と、私はもう一度繰り返した。
こういうの、とっても嬉しい。
「ベアトリス様、見てください」
そう言いながら腕を引っ張って、私をほんわかした気分から引き戻したのはパジーだった。彼女が指差したのは掲示板だ。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃありません、ベアトリス様! 二位の生徒の名前ですよ! イライアス・ウォーですよ!」
「……本当ね」
私は驚いて、ほんの一秒口をつぐんだ。
彼の試験順位が少しずつ確実に上がってきていたのは知っているが、二位にまで上り詰めるのはもっと時間がかかると思っていた。
「おい、見てみろよ! イライアスが二位だぜ!」
と、その時、獣人の男子生徒が廊下の向こう側から掲示板の方へ走ってきて、弾んだ声を上げた。
後から追いついた五、六人の獣人生徒たちも、同じように掲示板を見て自分の事のように喜んでいる。
そして一番最後にやってきた一際背の高い男子生徒に向かって、皆が声をかけていた。
「すごいね、イライアス!」
「俺たちの誇りだな!」
バンバンと肩を叩かれても、イライアス・ウォーは表情を変えない。ただ、ほんの少し唇の端を上げて、自分の結果に満足しているように見えた。
ウォーは彼の周りにいる生徒たちと同じく、獣人だ。
肩につきそうな長さの灰青の髪は、朝適当に整えてきましたといったふうで無造作なのに何故か様になっている。
顔つきは整っていて、獣人らしい野性味がありつつもどこか品があるが、それは彼の父親が騎士爵を得た獣人で初めての人物だからかもしれない。ウォーも小さい頃からそれなりの教育は受けてきたのだろう。
「イライアス・ウォーだわ」
「今回の結果で、あまり調子に乗らないといいですけど」
「獣人のくせに」
パジー、ウィンカ、マリーがひそひそと陰口を言い合うものの、その頬はウォーを見て僅かに桃色になっていた。
気に入らないけど、格好いいのよね――三人揃ってそんなふうに考えているのがよく分かる。
この場にいる他の生徒たちも、今は私からウォーに視線を移して彼に見とれていた。
男も女も、獣人も人間も関係なく。
ウォーには、そういう魅力があるのだろう。単に背が高くて容姿が優れているというだけじゃない。無口だけどいつも堂々としていて、孤高の雰囲気をまとっている。
けれど人を寄せつけないというわけではなく、頼れば必ず助けてくれそうな器の大きさを感じさせるのだ。
獣人の生徒たちは皆ウォーをリーダーとして慕っているし、人間の生徒たちも彼には一目置いていた。
私も、彼の実力は認めている。
演習で何度か戦った事があるけれど――同じくらいの実力がある者同士が組まされるので、私とウォーはよく当たるのだ――彼とは“一勝二敗一引き分け”という結果で、私が負け越している。
こちらは魔術を駆使しているのに、あちらは生身の体一つで戦ってこの結果なのだから、そこは私も相手を認めざるを得ない。
一方、座学では私の方が成績が上だったのに、ここにきてウォーも追いついてきている。元々頭は良かったみたいだけど、私を超えるために本気を出して勉強し始めているのかもしれない。
ちらりとウォーの方へ目をやると、何を考えているのか読み取れない表情でこちらを見ていた。
私は瞳に力を込めてウォーを睨みつけてみたが、その挑発にも乗る事はない。いつだってウォーはそうだ。余裕があるためだろうか、私や私以外の誰かに挑発されてもするりと躱すだけ。
しかし私とウォーの視線が交差している間、この掲示板の前に立っている生徒たちは全員、固唾を呑んで成り行きを見守っていたようだった。
いつの間にか廊下がしんと静かになっている。
私はウォーをライバルだと思っているし、学園の生徒たちもそう考えている。
ただ微妙に認識は違っていて、私は彼を『自分を成長させてくれる相手』だと考えているのに対し、周囲の生徒たちは『対立し、嫌い合っている関係』だと考えているみたいだ。
だから私とウォーが同じ空間にいると、皆緊張し始める。
けれどウォーが私の視線を受け流し、
「そろそろ教室へ行くか」
周りの獣人生徒たちにそう言うと、
「あ、う、うん」
「行こう行こう」
私がケンカを売ってくるんじゃないかと心配していたらしい獣人の生徒たちが、慌ててウォーの後を追った。
それと同時に、私の周りにいた生徒たちも緊張を解いて姿勢を緩める。
「ベアトリス様、私たちも教室に行きましょう」
ウォーにあまり興味のないらしいヴァイオレットに促されて、「ええ、そうね」と長い髪を払った。
次の試験でイライアス・ウォーに一位の座を奪われないようにしなければ、と気を引き締めつつ、私は取り巻きの五人を従えて教室へ向かったのだった。