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ゼロの男の物語  作者:
17/32

Dランク討伐依頼の物語 [クセンタ洞窟到着編]

歩くこと二日、俺達はクセンタ洞窟についていた。

道中現れた雑魚魔物は俺の華麗なる銃技で全て仕留めた。

久しぶりなんで腕が鈍ったかと心配していたが、道中の間に勘は取り戻したと言っていいだろう。


「……と言うことだ。」


みたいな説明を現在俺はリーラにしている。

なぜそんなことが必要か?

それは全ての魔物を俺が銃で倒したことに起因する。

別に俺が全て倒したことによってリーラのストレス発散の機会を奪ったとかそういうことではない。

要は


「だとしても際限なく撃ちすぎです。」


ということだ。

残弾は残り10発。

ついついテンションがあがってしまった結果の出来事だ。

はっきり言って戦う必要のないような奴まで撃った。

後悔?

なんでそんなことしなきゃならん。

別に悪いことをしたわけでもない。


「俺は悪くないという顔ですわね。」

「当然だろ。」

「確かに一概に悪くはありません。悪くはありませんが………なんで肝心のクセンタ洞窟に入るまえに銃弾を五分の四も使っちゃうんですか!なにかあったときのためとかに節約するくらいはしてください。」

「なんでだよ。」

「なんでって……ゼロさん、銃がなければFランクの魔物1体と互角くらいじゃないですか。」


なんか言外に銃がなきゃ弱いんだから大事なとこまでおとなしくしてろって言われてる気がする。


「つまり〜、リーちゃんはゼーちゃんが後で大変な目にあったときに弾がなくなっちゃったら心配だ〜、って言いたいのよ〜」

「別に心配なんかしてませんっ!ただお荷物になられては困ると………」


なるほど。

シャルの考えもまた一つの可能性としてはありだ。

なんかリーラがつらつらと言い訳がましいことを言っているのが逆に怪しい。


「そこまでにしておけ。いつまでも長々とくだらない話をしやがって。とりあえずクセンタ洞窟に入るぞ。準備はいいか。」

「大丈夫〜」

「偉そうに……誰のせいだと思ってますの。」

「口ぶりからすると俺のせいか?」

「そうです。」

「そうか。」

「…………反省とかしないんですの?」

「する理由がない。」

「っ!あなたに

「まあまあ〜、ケンカはそこまでにして、依頼を片付けましょ〜。」

…………そうですわね。」


シャルの制止にリーラが言葉を抑えて引っ込んだ。

三人になったメリットはこんなところにもある。

今までだったらリーラのハイパー怒鳴りタイム突入だったな。

あれは鼓膜に響くんだよな。……何言ってるかは聞いてはいないがな。


俺を先頭にしてクセンタ洞窟の中に入る。

中は夜のように暗く目が慣れたとしても1メートル先を見るのがやっとだ。


「なんも見えねえな。」

「ちょっと待って下さい。」


俺の呟きに後ろから声がかかる。


< 光よ 我らの行く手を照らせ>


リーラが何か唱えながら空間に紋様を描く。すると周囲5メートル程度が現れた光によって照らされる。

魔法

なんか久しぶりに見た。

便利だな。


「これでいいですわ。」

「へぇ〜、リーちゃん魔導師なんだ〜。」

「いえ、(わたくし)はそんな大層な者ではありませんわ。簡単な回復魔法と火と水の二階級までとこの魔法しか使えませんわ。」

「十分すごいよ〜。お姉ちゃんはまったく使えないしね。」


女二人で盛り上がっている。

とゆーか俺って魔法のこと全然知らないな。


「魔法って使える奴と使えない奴がいるのか?」

「いるよ〜。魔力がない人は使えないんだよ〜。」


俺の疑問にシャルが答える。

そりゃそうだ。

魔法の源は魔力だ。それくらいは聞いたことがある。


「その魔力がない人間って奴はどれくらいいるんだ?」

「魔法を使えるだけの魔力を持っている人間なんて百人に一人くらいですわ。」


今度はリーラが答えた。

つーかこれって


「………自慢か。」


わたし凄いみたいな感じに聞こえる。


「なんでそう思ったのか知りませんが事実を教えただけです。」

「…まあいいだろう。んで魔法の種類ってどれだけあるんだ?」

「どう説明したらいいものか……現代で公式に使われているものは火・水・土・風・雷・光・闇・回復の8つですわ。」

「意外と少ないんだな。」

「公式に、と言ったでしょう。それ以外にも古代魔法と呼ばれるものがありますが、こちらは正確な数がわかりませんの。ちなみにこの光も古代魔法の一つですわ。」

「どう違うんだよ。」

「さっきあげた8つは魔法陣を描く必要がなく、篭めた魔力の量によって起こる現象が変わります。対して古代魔法はいちいち魔法陣を描かねばならず、また使用する魔力は変わりません。」


つまり、現代の魔法とやらは発動が容易だということか。


「古代魔法は不便だということだろ?なんでわざわざ使ったんだ?」

「不便というか発動させる手順が多いので面倒というだけです。どちらかと言えば古代魔法の方が便利なんですのよ?」

「どこがだ?」

「現代の魔法は起こせる事象が限られてますの。それに比べて古代魔法は千差万別。意味があるのかわからないものから、反則的なものまでいろんな魔法がありますの。ただ、古代魔法は習得が難しく、また、出会うことすら珍しいんです。この灯りの魔法も偶然出会った魔導師に頼み込んで伝授してもらったんですのよ。」


そういうことか、それなら納得というものだ。


「そういえば、火と水の二階級までとか言ってたがあれは?」

「それは先ほど言ったおこる現象に関わる事柄です。現代の魔法は篭めた魔力の量によっておこる現象を三つの階級に分けているんです。簡単に説明すると一階級でその属性が示すものが顕現し、二階級でそれを塊として放出することができ、三階級で指定した空間をその属性を象徴するもので殲滅するといったところでしょうか。8つの属性のうち回復魔法だけは違うんですがあとは同じです。例として火の属性を挙げると、一階級で指先から炎が出せます。まあ、種火くらいにしかなりません。二階級でそれを拳二つ分くらいの塊にして飛ばせるんです。そして三階級では(わたくし)が指定した空間、例えば今ゼロさんが立っている場所を指定したとしましょう。そこが炎に包まれてゼロさんは黒焦げ。みたいなことですわ。」


なんか、例えとはいえ俺が黒焦げにされたことは甚だ不服だ。

しかし、魔法か…ちょっと興味がある。


「俺にも使えんのか?」

「魔力があることが前提ですけど、属性の適性がないとだめですわ。(わたくし)も火と水そして回復魔法しか使えませんもの。」

「それを調べる方法は?」

「…家系?」

「役に立たねえな、お前。」

「仕方ないでしょう。(わたくし)は物心ついたときには魔法がつかえてましたし。」


説明キャラのくせに肝心なことは知らないのかよ。

使えねえ。


「お姉ちゃん知ってるよ〜。」


そこで今まで黙ってリーラの説明を聞いていたシャルが声をかけてくる。

そうだった、こいつがいた。

リーラがダメなときはシャル。これはもはや最近の俺の図式だ。


「んで、どうすればいいんだ。」

「ん〜その前に、寄ってきた魔物を倒しちゃおっか〜。」


シャルの声に振り向くとウルフが三体唸りながらこっちによって来ていた。

そういえば、長々と立ち止まってしゃべっていたからな。

そりゃ寄ってくるわな。


「ふん、雑魚が。死ねよ。」

「だめです。」


俺が銃口を向けたところで、リーラが腕をつかむ。


「なんで邪魔をする。」

「なんでって、後々のために節約してください。ここは(わたくし)たちが、シャルさん援護を頼めますかしら。」

「オッケ〜。まかせて〜」


リーラが新調したというレイピアを抜き、シャルが鞭を取り出す。

……って鞭!?

おいおいおい、どこの女王様だよ。とゆーかお前に嗜虐嗜好があったとは驚きだ。


「なんかすごい誤解が生まれた気がする〜」

「何を言ってますの。来ますわよ!」


ウルフの相変わらずの単調な攻撃。

しかしその速度は速い。

とゆーか速過ぎないか?

アーガルド周辺で戦った奴よりはえーんだけど…

気のせいか体毛の色も違って見える。

地域限定品か?

とりあえず俺もダガーを抜いておく。

本当は銃でちょちょいっと殺っちまいたいが、リーラを怒らせるのもめんどくさい。

なあにウルフ程度ダガーで十分だ。


「ゼロさんは下がっていて下さい。こいつらはただのウルフではなく、ブラッドウルフ、Eランクの魔物ですわ。」


何?

種類どころかランクも違うのか。

それにしても戦力外通告されたのか今?

お前が待ったをかけただけで銃さえ使えれば余裕なんだぞ?


「捕まえた〜」


その声にリーラから視線を移すとシャルが鞭でブラッドウルフの体を拘束していた。

その声を聞いて動いたのはリーラ。

ブラッドウルフ以上のスピードで駆けると、拘束されたブラッドウルフを頭から串刺しにした。

えげつない。

リーラの攻撃が当たる瞬間に拘束を解いたシャルは残りの二体と相対している。


「はっ!」


シャルが鞭を横に振るう。

するとブラッドウルフの首が跳んだ。

あれ、鞭だよな……つーかさっきやれよ……

リーラも貫いたレイピアを抜き取ると残った一体に向かっていく。

ブラッドウルフもリーラに向かっていく。

両者がぶつかると思ったところでブラッドウルフの動きが不自然に止まる。

シャルが鞭によってブラッドウルフの後右足を捕らえたのだ。

哀れブラッドウルフはそのままリーラのレイピアの餌食に。

完勝。

このひと言に尽きる。

無傷での勝利はもちろん、連携もきちんととれていた。

まったく、いつの間に打ち合わせをしていたんだ。


「ふぅ、初めてにしてはきちんと連携できましたわね。」

「うん、ばっちり〜」

「ゼロさんが戦いに参加しなかったのも大きいですわ。」


こちらを意味深な目で見ながらリーラが言う。

どういう意味だ。

まあ、それにしても


「直接的な戦いは苦手じゃなかったのか?」


シャルに向けて言ってやる。

ブラッドウルフの首を鞭でポンッと跳ばすような奴がよくもまあ、言えたもんだ。


「え〜っ、苦手だよ〜。本来のお姉ちゃんの戦いかたはリーちゃんにやったように戦闘の補助なんだよ〜、でも誰とも組んでなかったから必要に迫られてああいうことも覚えたんだよ〜」


覚えたらできんのかあれ……

なんとも非常識な。

なんか鞭ってすっげえ応用が利きそうだな。


「シャルはまあ置いておいて、お前の戦いかたは相変わらずえげつないな、リーラ。」

「………毎回(わたくし)が戦うたびに言うのやめてくださいません?」


リーラは綺麗な顔してんのに戦いになると基本的に相手の頭を突こうとする。

時々飛び出てくる脳みそのグロいこと。

こいつと一緒に依頼をこなす上で何度も目にしたが今だに面白い。

また、気にしてんのかこれでからかったときのこいつの嫌そうな顔がまたたまらなく楽しい。

気にしてんならやめりゃいいのに。


「ゼロさんだって銃を撃つときは相手の頭を撃ち抜くじゃないですか!」

「それがどうかしたのか?」


俺は好きでそうしてるんだ。

魔物どもの頭が弾け飛ぶ瞬間がすこぶる面白いと思っている。

…………はっ!もしかしてリーラも同じような感覚を


「持ってんのか?」

「……何をですの?」

「いや、魔物の頭を突くのが楽しいという感情。」

「持ってません!」


リーラはすっごく怒りながら俺に背を向け洞窟の先へと足を進めていく。


「ゼーちゃん…さすがにそれはないわ〜」

「いや、俺がそうだからもしかしてと思ってな。」

「それはそれで怖いわよ〜。でも好き〜。」


シャルが抱き着いてくる。

とゆーかリーラが離れていくたび暗くなってきてんな。

とりあえず追いかけよう。


チクっ


「いてっ」


なんか首に一瞬痛みがはしったような…


「どうかしたの〜?」

「いや、なんでもない。」


そう言ってリーラを追いかけるべく歩きだす。

まったく、お前がいなくなると暗くて周りが見えないだろうが。

ちょっと離れたところにいるリーラが止まったのだろう。

だんだんと灯りに近づいていく。

……しかしおかしいな。なんか視界がぼやけて………


「ゼーちゃん?ゼーちゃん!しっかりして!」


シャルの声が近くで聞こえるがそれも遠くなっていく


どうしたって言うんだ俺の体。


そのまま俺は意識を失った。


これは魔法を詳しく知り、シャルの実力の一端を垣間見たDランク討伐依頼の物語の一幕

主人公の危ない思考が……

まあ、頭潰すのって戦いの王道ですよね。

それをどうとるかですよ

……嬉々としてやるのはどうかと作者自身は愚考します。


魔法に関してはわかりにくければ雰囲気だけでも掴んでくれれば幸いです

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