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目目目  作者: 祇光瞭咲


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5/17

***

 その夜も夢の中にいた。

 今日も史郎は暗い道を歩いている。いつもの通勤路ではなく、駅を挟んで向こう側の地区だった。まったく明かりのない住宅街は薄気味悪い。

 ごく最近見た景色だと首を傾げ、思い当たる。

 そうだ、これは弥奈子の家に向かう道だ。

 視線は相変わらず付いてきた。初日からずっと視線の主は姿を見せないけれど、いつか目の前に現れるのだろうか。その日が今から恐ろしい。

 歩き続けていると、遠くから川の音が聞こえた。

 真っすぐ行けば弥奈子の家に着くだろう。家に行けば弥奈子がいる。きっと彼女に会えるという奇妙な確信があった。だが、史郎は川へと足を向けた。

 川に出た。

 暗い世界なので、川面も黒い。それでも水際を見分けることができたのは、辺りに蛍が飛んでいるからだった。鮮やかな黄緑色の光は、いくつもの尾を引きながら舞い踊っている。

 しばらくその光景に見惚れていると、史郎は唐突に喉の渇きを覚えた。

 水が飲みたい。

 嗚呼。

 水なら目の前にあるじゃないか。

 その衝動に、理性が警告で反論する。あの水は飲んではならない。

 だが、結局は抗えない。史郎は喉を潤すという甘美な誘惑に負け、水際に膝をついた。水を掬って飲む。水は冷たく、美味しかった。

 もっと飲みたい。

 もっと、もっと。

 史郎は水が顎を、服を濡らすことにも構わず、水を飲み続けた。

 三度手を差し入れる、川の底。

 水の中には光があった。無数の白い光。

 それは唐突にこちらに向いた。

 川底を覆うのは光ではない。無数の目だったのだ。

 見られている。

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