89 分担を決めた方が進めやすいかも
「これで全員ね」
ハルニナの到着を待って、部活が始まった。
「今日は、予想も研究発表もなし」
いつものようにフウカがチューター役を務める。
「事件のことなんだけど」
「え、マヤノトップガンの研究してきたんだけどな。でも、いいよ」とジン。
「情報交換や意見交換より、先に、調査することを決めて、その分担を決めた方が進めやすいかも、と思ったのよ。学生の分際で、関係者に失礼な質問をして回るには限度があるけど」
「リオンから情報を仕入れることは、少しはできると思う。調査結果を教えてくれたりはしないけど、何をしているのか、支障のない範囲で、こそっとね」
フウカの両親は警察庁の大幹部。
その威光を有効に使って、恋人の刑事から聞き出そうということだ。
さすがに不安になったが、
「大丈夫。絶対に無茶はしないし、先生はじめ大学に迷惑がかかるようなことはしないから」
と、少し硬い微笑を見せた。
「親にもね」
まず、ノーウェ先輩の身辺調査。
これがやはり一番よね。
先輩のことを知っているようで、それは普段の、つまり表面的な部分を大学や競馬場という場を通して垣間見ていただけのこと。
ハルニナ以外はみんな後輩だし、聞き込みがいると思うのね。
端的に言えば、先輩が恨まれるようなこと。この有無の調査ね。
もっと言えば、殺してしまいたいと思うほど、先輩を憎んでいた人がいないかどうか。
調査としては王道でしょ。
でも、どの方面に調査すればいいのか。
私たちにできること、これは少ししかない。
大学時代のこと。
それから、先輩の身に最近起きた新しい出来事。
これは二つあるよね。
就職されたことと、結婚されたこと。
再生財団にはつてがないから、正面から行くしかないわ。
だれか、つて、ある?
挙手する者はない。
じゃ、これは……。
俺は手を挙げた。
つてがあるわけではない。
そんな大組織に女子学生がひとりアポイントを取ろうとしても、うまくいくはずがない。
人事部に、つまり新卒採用に絡めて、というわけにもいくまい。
「えっ、先生もやってくれるんですか?」
「手伝えることはする」
「うわ、助かります!」
ノーウェを教えた教官だと言えば、面会くらいはできるだろう。
「でも、補佐は付けてくれ」
ハルニナが手を挙げた。




