56 どうしたの? みんな変な顔して
フウカが、一瞬浮かぬ顔を見せた。
ランも気づいたのだろう。
「元気ないね」
と、気遣いを見せた。
「成績? ダメっぽい?」
「え、あ、そこ? ダメってこともないんだけど」
確か、フウカの場合、成績は芳しくはないが卒業に黄信号がつくほど、とは聞いていない。
彼女に限って、留年などあるはずがない。
ただ、春学期の成績が伸びず、就職先に苦慮しているのかもしれない。
フウカが、物憂げに、空を舞うフクロウを見上げた。
気にしてあげるべきだろうか。
しかしゼミの担当教官でない自分ができることはない。
悩みがあったとしても、聞くだけ聞いて相談にもならない。
「あー、もう! そんなこと忘れて、今に集中!」
と、ラン。
「そうそう!」と、ジン。
「あんたたちはいいけどね」
ジンは成績優秀。
ランにいたっては、全学一千名の中から最優績者表彰を受けた猛者である。
派手な羽音を響かせ、腕を振り回す警備員の頭上を掠めて、デジロウが戻ってきた。
本物のフクロウなら、こんな大きな羽音はたてまい。
フウカの肩に停まったデジロウの報告。
「ノーウェの聞き込みをするそうだ。これから散会して、始めるらしい」
え!
フウカもランも、ジンでさえ、ギョッとした顔を見せた。
「ノーウェ先輩の……」
「……ん?」
「また?」
「どうしたの? みんな変な顔して」
サークルのメンバーがもう一人増えた。




