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40 馬が教えてくれる

 京都競馬場、秋華賞の日。


 馬が教えてくれる。


 そう言ったハルニナは無視された格好だ。

 パドックに入ってきた先頭の馬が、珍しい馬体をしていたためだ。

「うおっ」

「すごっ」

 声があがる。


 漆黒の馬体かと思いきや、パドックを回って来れば体の右半分は黒と白のブチ模様。

「格好いい!」

「聞きしに勝る……」


 秋の京都、第一レースのパドック。


「私、あれにする。プリブノウメキ」

「いくらなんでも、ムリムリ」

「どうして?」

「だって、ウメキだよ。呻き」

「あんた、名前で決める派だもんね」

「ちがうって。ボクはデータよりロマンを求める派」


「まあ、プリ・ブノウ・メキかもしれないし」

「どういう意味?」

「さあ」

「でも、うれしいね。競馬場、やっぱりいいよね」

「久しぶりだもんね」

「ウンチの臭いも芳しいし」


 などと騒いでいる教え子たちを眺めながら、メインレースである秋華賞の予想を見直していた。

 事前に全レース分の予想は終えてある。

 とはいえその予想とは、消すものは消して三分の一ほどに絞ってあるという意味だ。


 サークルのルールとしてパドックは見る、と決めてある。

 三番の馬を凝視してから、それを本命として、前もって目をつけていた馬の中から馬連を三通り、と決めた。



 ハルニナが振り向いた。

 長い袖を振ってみせてくれる。


 彼女はどんな時も黄色いローブを羽織り、腰まで届く艶やかに輝く髪をなびかせている。

 美白美人とは彼女のこと、というほどの美貌に長身。パドックの中でもひときわ目を引く。

 パイナップル色の笑みを送ってきた。


 それにつられたように、ミャー・ランも振り向いた。

 こちらは、クルクルとした瞳ではっきり笑いかけてくる。


「ミリッサ! どうする?」

 そう問いかけてきたのはもう一人の学生、秋だというのにショートパンツ姿のジンである。

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