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270 自首? そんなっ!

 その頃。


 ハルニナはメイメイと、事態打開について話し合っていた。


「もうすぐ、ヨウドウ先生も来てくれる。それまでに、何か案を」


 場所はミリッサの部屋。

 全員集合をかけていた。


「ランから聞いた。強行突破するつもりだって。いったい、なにを考えてるんだか!」


 ランは妖怪。

 俄然、本気。


「その前に、なにか手を打たねば。後五時間」

 気は焦るが、いい案はない。


「誰か犯人を仕立てあげるしか」

「そうだね」

「それで、明日釈放を確約させる」

「でも誰を」


 当然ながら、そこが重要だ。

 ノーウェ事件とアンジェリナ事件の両方にマッチするだれか。


「ルリイア先輩の件は、彼女自身を出せば解決すると思うけど」

「私が行くしかないか」

「えっ?」

「アンジェリナとノーウェ、両方に接点があるのは私だけ。まさかこんなこと、ジーオに頼めないし」

「ええっ、自首? そんなっ」

「仕方ない」

「取り返しがつかなくなるかも」

「まあ、大丈夫じゃない? 狂言だってすぐにばれるし。メイメイも証言してくれるし」

「ノーウェ事件の時に、現場にいなかった明らかなアリバイ?」

「そう」

「でも」

「もう、時間ない。悩んでる場合じゃない」

「待って。アンジェリナ殺しはノーウェで、という線は?」

「ややこしくない? 実際、そうかもしれないけど、証拠はないし、PHの説明もできない。警察は信用しないと思う」


「でもでもでも」

「一種の賭け。警察が一顧だにしなかったら、作戦は失敗。ミリッサを解放、とならなかったら」

「後の打つ手がない」

「そう。でも、これしかないなら……」


 ハルニナにも逡巡はある。

 拘留された後のことを考えると。

 殺人の動機や日時や方法などについては、無言を貫けばいい。

 あるいは支離滅裂な供述をすればいい。

 やがて嫌疑不十分となるだろう。

 数日間の留置生活でミリッサが自由になり、その間に真犯人を突き止めることができたなら、それで八方上手くいくということになるが。


 しかし、最悪の場合、数週間、ひと月の留置生活となれば、PHの抗争はどうなるか。

 むろん、その間の総帥代理は前総帥のメイメイと決めてある。

 よほどリーダーシップはあるし、信頼も厚いものがある。

 そこに不安はないのだが、その混乱をカニに付け込まれる恐れは十分にある。

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