251 楽しいとさえ思える時間
「ガリさんねえ」
「だめか?」
「ううん。適任やと思う。きっと、動いてくれる」
「間違っても、オマエが頼むんじゃないぞ。必ずヨウドウから」
「そうなん?」
「それから、守衛のおっちゃんにもヒアリング。これもヨウドウから」
「わかった」
「そういや、俺のこと、サークルのメンバーにはどう伝わってる?」
今まで、これを失念していたことが我ながら驚きだった。
それにケイキちゃん事件は、フウカは結論を出したのだろうか。
「フウカからは何も連絡ない。アンジェリナ事件は、フウカも説明のしようがないねやろね。死体を発見した時の説明がでけへんから」
「だろうな。ジンとか、俺が殺人犯って思ってたりして」
「さあ。会ってないから」
「ケイキちゃん事件は?」
「だから、連絡ない。でも、どうなんやろ。最後の話し合いせんと、フウカ、止めるやろか」
フウカのことだ。
次回に持ち越し、としたのではないだろうか。
ただ、デジロウが壊れて落ち込んでいるかもしれない。
「あ、そうそう。フウカの就職先なんやけど、決まってたみたい」
「おっ、そりゃ、めでたい」
「再生財団やって」
「えっ」
「所属も」
「まさか」
「その、まさかまさかのケイキちゃん担当やって」
「本人がそう言ったのか?」
「ううん。とある情報筋から」
「そうか。なら、言い触らすなよ」
よりによって、と言える筋合いはないが、ノーウェのことを思い出した。
あのツータックという男やパートさんたちも。
もうひとつ、重要なことを思い出した。
「ルリイアは? 彼女、見つかったのか?」
「うん、大丈夫みたい。入院はしてるけど」
「えっ、入院?」
「京都市内の何とか病院」
「どこが悪いんだ?」
「単なる過労やねんて。でも、精神科も受けてるみたい」
「ストレスが昂じて、ってこと?」
「そうみたい。ちょっと怪しいけどね、この情報」
「怪しい?」
「うん。嘘の匂いがする、ってこと」
「確かに」
普通の入院なら、勤務先から捜索願が出されることはないだろう。
それからは、いろいろな話をし、昼食を一緒にし、楽しいとさえ思える時間を過ごした。
「でも、よかった。やっと、ミリッサもその気になって」
「ん?」
「私はさあ、これでもいろいろ考えててんよ。さっきの草のこともそう。私なりに調べてみたりもしてるし」
「事件のこと?」
「というより、どうやってミリッサを守るか」
「すまないな。何を調べてるんだ?」
「また今度。もうちょっとはっきりしてから」
そう言い残して、ランは帰っていった。




