386 危害を加えんとする者、参集せりという報せ
「帰れ!」
ランの厳しい声。
「お言葉ですが、お館様が」
「嘘をつけ!」
「ワレらも心配で」
などと言い合っている。
マンションの屋外廊下。声が響く。
「ラン、どうした?」
「それが」
聞かずとも、想像はついた。
妖怪連だ。
目にはなんとなく人間の男と見えるが、気配が違う。
輪郭もなにかあいまい。
ランと話しているのは、やけにひょろ長い体躯を持つ青白い顔。
身長に合わない短い手足。頭部は白い髪に隠れているが、何となく角が生えているような盛り上がり。
こいつは、何だ?
後ろに控えているのは、黒ずんだ肌を持ち、クリクリ目玉の小男。
鼻の横に髭を書き加えれば、たちまちイタチか、カワウソか。
体格的にはカワウソか。
もう一人も小男。
はっきりわかる。
日本人なら誰もが目にしたことがあるあの顔。
狸だ。
何かわからぬひょろ長男、カワウソ、そして狸がランを訪ねてきているのだ。
「部屋に入れろってうるさい」
「はあ?」
「あのう、ミリッサ殿。いつぞやは」
と、ひょろ長が言いだした。
あのお屋敷で、会ったということなのだろう。
縁に居並ぶ者には見えなかったが、背後の群衆の中にでもいたのか。
しかし、当然、ここにジンが反応した。
「へえ、ミリッサ、知り合い?」
「知り合いでも何でもない」
「ふうん。あんたたち、部屋に入りたい? どうして?」
おい、ジン。
ごちゃごちゃ言ってないで後ろに下がってろ。
が、男の声がジンの足を引き止めた。




