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38 獣の骨、か?
獣の骨、か?
急に気持ちが悪くなって周りを見た。
狸であろうと狐であろうと、死体の上に座り込むのは気持ちのいいものではない。
くそったれ!
ゆるゆると立ち上がった。
何の骨か知らないが、散らばっている。
鹿や猪の骨ではない。
そんな量ではない。
えっ。
これは!
猿か!
ええええっ!
頭蓋骨?
人!
人骨!
わ、わ、わわっ!
白い衣服の名残!
赤い靴!
もう後も見ずに、走り出した。
走って走って、道に飛び降りては転び、木の根に躓いては転び、それでも全速力で山を駆け下った。
建物が見えてきた。
フェンスが行く手を阻んでいる。
小さなドア。
鍵のかかった扉。
その前にへたり込んだ。
そうだ!
電話!
しかし、それら文明の利器は放電してしまっていた。
スマホだけではない。すべての電子機器は使えなくなっていた。
雨に濡れたからではない。
なぜか、わからない。
くそ!
役立たずめ!
待つしかないのか、誰かが来るのを。
待つしかないのか……。
ここで……。
まだ、夜明け前。
濡れた衣服が体温を奪ってゆく。
額から手から、血が流れている。
ズボンは破れ、脛のあたりは傷だらけ。
だが、ただ蹲って、待つのみ……。
人骨をつかんだ指の感触を拭いもできずに。




