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33 しばし、小休止と参ろう

 ハヒ。

 ハ、ヒ。

 ゼ、ヒュー。

 ゼ、ヒュー。

 ハ、ヒューーー。 


 掌で沢水をすくった。

 たちまち血が混じる。

 急いで飲む干す。

 一口、二口、三口。


 手と顔を洗った。

 鮮血が水に溶けてゆく。

 傷口を擦りすぎて、また血が流れた。



「おのおのがた、しばし、小休止と参ろう」

 あえてふざけた調子で声に出し、この状況を笑える心境に持っていこうとした。



 手近な石に腰を落ち着けた。

 一応、後ろを振り返る。

 蛇は見えない。猿もいない。


 あたりを見回した。

 木々の様子からすれば、高山ではなさそうだ。

 先ほど見た街の明かりの多さからすれば、とんでもない山奥でもない。

 少なくとも、大峰山中でもなければ大雪山系でもない。


 あとは何とかして街まで降りるのみ。

 ここは日本だ。外国であってたまるか。


 いや待て、あの灯はまさか妖怪の街?

 忌々しい。

 のこのこ入っていけるか。

 いや、好都合か。

 あそこでランを探せば。


 ええい、くだらんことを考えるな。

 ロールプレイングゲームじゃないんだぞ。



 頼む、雨よ、やんでくれ。



 滝つぼの向こう側に小さな岩穴があることに気づいた。


 ふうむ。

 首を振った。

 あの中で雨宿り……。

 まさかな。


 徐々に明るくなっていると感じたが、それは思い違いだったようだ。

 まさに夜。

 あいだみちの中より、幾分明るいというだけのようだ。

 街の明かりが、かろうじて、この山中にもごくごくわずかな光をもたらしていただけ。

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