326 言ってみただけ
先生。
勘違いされてはいないと思いますけど、分かっていただきたいです。
前に、ルリイア先輩とアイボリーのことを話したとき。
私は、二人を陥れようなんて、まったく、これっぽっちも考えていませんでした。
先生に言ってみただけ。
話題として……。
ただ、それだけ、です。
言ってみただけ……。
アイボリー、これ、あなたのプライバシーになるけど、言ってしまっていいかな。
あなたのおばあさんのお家に。
あ、ヨウドウ先生、失礼しました。
どうか、話させてください。
アイボリーのおばあさんの購入した傾聴ロボットの担当者はノーウェ先輩でした。
契約書にそう書いてあったものね。
あの時は本当にびっくりした。
でも、それって、アイボリー犯行説を強めるだけの情報。
今更、弁解みたいに聞こえますけど、私はそんなことを公表する気は最初からありませんでした。
ルリイア先輩もそうです。
そう、嫉妬こそすれ……。
先輩のことは大好きですし、いつもよくしてくださって、本当に感謝しています。
先生、本当にごめんなさい。
フウカは、目の前のヤマガラに聞かせるように話していたが、言葉を切り、ハルニナを見、振り返って花ござの一同を見た。
スペーシア、ランと目をやり、最後に正面を向いた。
目が合った。




