321 話し……、たくないです……
「さ、フウカ。俺がここまで話した。引き取るつもりはないか?」
「先生……、私……、話し……、たくないです……」
そう言ったまま、フウカは身じろぎもしない。
下を向いたまま、目をつむった。
そうか……。
話をさせるのはむつかしいかもしれない。
どんな証拠もない推論。
これを盾に、フウカ自ら話をさせようと思ったのだが。
「仕方がない。言葉のチョイスの些細なミスにより、真実が少し違う結論になったりするのは避けたかったんだがな」
あの夜のこと。
もう少し、俺から話そう。
警察が来た。
誰かが通報したに違いないんだ。
俺も含めて、皆が集まることが理由じゃない。それは、警察は百も承知。
サークルのミーティング。フウカがレオンにそう話している。
じゃ、何を?
ひとつ。
ノーウェの事故のことを調べているということ。
ふたつめ。
その調査の最終日であること。
なにが、予想されたか。
はっきり言って目新しいものはない。いわば、ヒアリングは行き詰っている。
その夜、新たに発表されるのは、映像チェックの話。その他の階も含めての。
それだけではなんの解決にも繋がらない。
実際、俺は、解決編として発表するつもりだった。
さっきから話しているような内容をね。
黒い点、つまりオロチとか、白い光、つまりフクロウとか。
「フウカ、君にとって、厳しい話になるよな」
俺はあの日、オロチと話した。
パドックの裏で。ランと一緒に。
ジンが見ていたが、ジンにオロチは見えない。
だが、上空からデジロウが見ていた。
デジロウには妖怪が見えるんだ。
「意味、分かるよな」
でも、なぜなんだ。
「なあ、フウカ、なぜ、俺を陥れようとしたんだ?」




