309 言うまでもないが、一応、だぞ
「アイボリーはルリイアと示し合わせ、ノーウェが階段の上でひとり待つという状況を作り出した」
そして何らかの方法によってノーウェを階段から転落させた、というパターン。
ここで想定されるのは、着ぐるみに何らかの時限的な仕掛けが施されていたこと。
それを発動させ、ノーウェの意志とは無関係に着ぐるみの足を動かした。
残念ながら、もう確かめることはできない。
周山企画は廃業し、着ぐるみはもう処分されている。
この場合、もちろん、ルリイアはその場を離れていなければならない。
もしそばにいたなら、真っ先に疑われること間違いなしだし、無実を主張することはむつかしい。
二人は並んで歩いてたんだから。
フッと息を吐いた。
アイボリー首謀説。
できるだけ簡潔にと思っていたが、説明しないわけにはいかないことを付け加えると、それなりに長くなる。
幸い、アイボリー本人も父ヨウドウも無言だ。
「亜流もある。つまり、アイボリー単独説」
しかし、大きな欠点がある。
当然のこと。
いつ、ノーウェが階段を通りかかるか、わからないからだ。
現場で待ち伏せていたのでない限り、あるいは階段に着ぐるみの仕掛けを発動させる別のセンサーか何かが用意されていない限り、できない相談だ。
待ち伏せ。これは事実と反する。そうなっていない。
現場の別の仕掛け。そんなもの、用意できてたはずがない。発見されていない。
だから、やはり、ルリイアの関与は排除できない。
「では、次のパターン。アイボリー無関係。ルリイア単独パターン」
言うまでもないが、一応、だぞ。
ケイキちゃんの着ぐるみは、いつも控室に保管されている。
イベント当日より前、いつかは知らないが、ルリイアは着ぐるみにさっき言ったような仕掛けを施しておいた。
ノーウェを階段前に残して去る前に、あるいは控室を出るときに、時限的なその仕掛けのスイッチを入れ……。
というわけだ。
「もう一人、関与が疑われる人物がいた」




