表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

305/333

304 よりによって、妙なのがよくこれだけ

「驚いたことに、俺に蛇の妖怪がとり憑いていた」

「はあ? なんじゃそれ!」

「ああ、俺も仰天した」


 ヨウドウ、ジンやフウカらは驚いたようだったが、他の四人は平然と、あるいはにやりとしただけ。

 そしてガリも。


 よりによって、妙なのがよくこれだけ集まったものだ。



「実は、これはまだ誰にも言ってないが、ルリイアはその蛇と話をしていたというんだ」

「な!」

「いちいち驚くな」

「驚くなという方が無理だ」

「まあな」


 俺は、ルリイアに聞きそびれていた。

 会えてなかったんだ。

 何の話を蛇としたのか。

 これ、重要だと思わないか?


「おい! それって、もしかして、ルリイアと蛇が」

「待たんかい! 早まるな」

 今は、黙って俺の話を聞いてくれ。




 このまま話は、突っ走っていっていいだろうか。


 展開する推論は、さほどの根拠があるわけではない。

 しかもPHの話はせず、核心的部分の証言は妖怪ときている。

 あまりに希薄。

 脆弱な根拠。

 人にとって、信ぴょう性はまるでなし。

 無理やりな思い込みと言われてもしかたがない。

 特にガリがどんな反応を見せるか。

 正直、恐ろしい。


 が、話すしかない。



「ここで少し興味のある話が持ち込まれた。アイボリーからだ」


 財団の本質を暴くという研究に取り組むという。

 卒業研究のテーマにするつもり。

 そのきっかけとなった出来事はヨウドウから聞いているが、プライベートなことなのでここでは話さない。

 ただ、財団の本質。

 決して良い意味で言うのではない。


「あ、アイボリー、違うというなら、そう言ってくれ」


 アイボリーは、ありていに言えば、財団を憎んでいる。

 特に、傾聴ロボットを。


 しかも、そのPRイベントをアイボリー自身がやってるんだ。

 ケイキちゃんの着ぐるみに入って。

 その心の苦痛たるや。

 俺にもわかる。


 でもこれ、裏返してみれば、アイボリーが虐められていたこと以上に、ノーウェを憎む理由になるのではないか。


「アイボリー。反論、あるかな」


 アイボリーは挑戦的な反応を見せた。

「はい。そうです」

 どうだと言わんばかりの顔。

 それを見て、つい、口が滑った。

「うん。俺の部屋に来てまで話してくれた。ノーウェの事故を事件として調査している最中に」


 フウカやハルニナ、ジン、そしてガリまでもが、さっとアイボリーに目を向けた。


 しまった。

 漏らしてしまった。

 が、口にしてしまったことは取り返せない。

 知らん顔して話を進めるのみ。



 アイボリー、正直に言おう。

 言ってたよね。私に気を遣わずに話してって。

 君については、なぜだ、ということが続いていた。


 嘘の遅刻。

 サークルへの入部。

 研究課題を、わざわざ、一講師の俺の家にまで来て話してくれたこと。


 そして、後に分ったこと。

 君のおばあちゃんの傾聴ロボットの担当者、つまり影の囁き担当。

 それがノーウェだった。



 嘘の遅刻、研究課題、財団の担当者、これらは、あれが殺人だったとして、君にとって不利な情報になる。

 そしてサークルへの入部。

 これは俺も誘った。ジンも誘った。

 でも、俺たちの調査状況を知るための入部、ともとれるわけだ。



 俺はアイボリーのことを、授業で見る君のことは、知っている。

 君が悪意を持ってノーウェを殺したとは信じられない。

 しかし、状況は君にとってあまりに不利。


 だから、俺は、何度も何度も映像を見直した。

 そこにアイボリーの痕跡が何かあるのか。

 背後に君の存在を示す何かがあるのか。


 何もない。


「とうとう、俺たちの調査はここで停滞してしまった」


 あとは断片的な、どうでもいいような情報がちらほら出てくるだけ。

 ルリイアとアイボリーへの疑惑がくすぶるだけで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ