301 最初は何だった?
ごちそうさまの後、まだ飲み足りなさそうなヨウドウは無視して、話を始めようとした。
ランに目配せをする。
どうぞ、という瞳の応酬。
昨日、ランとハルニナ、メイメイと語り合った内容に沿って。
では。
「俺が思ったことを話したい」
フウカよ。俺が進行するぞ。
今日は、できれば最後まで自分の推論として話し終える。
その後、各自がそれをどう捉えるかは、出たとこ勝負。
「ノーウェの事件」
はっきり言って、これが事件なのかどうか、分からないまま俺たちは調査を始めた。
今日も、あえて、捜査という言葉は使わない。
あくまで俺たちは民間人。
恐れ多くも捜査とは言えないし、実際、それほどの力もない。
もしかすると、言い方は悪いが、単にお遊びに終わる可能性も大きかった。
言い出しっぺはフウカ。
フウカのためにも、俺は、曲がりなりにも何らかの結論までいかなくては、とは思っていた。
「ヨウドウ、ガリさん。聞いているかどうか知らないけど。そういうことなんだ」
二人とも知っていたのか、ふむ、と頷いただけだ。
「ことの発端とか、飛ばしてもいいか?」
「構わん」
「どうぞ。結構ですよ」
「ありがとう。では」
斜め前に座るガリと目を合わせながら、この二か月間を回想した。
もう何度も、繰り返し、繰り返し、記憶を穿り返している。
様々に明らかになった事実や、その断片。
それぞれの言動や、かすかな反応。
そして見聞きした驚くべき事柄の数々。
ガリの顔には、疑念も怒りも、蔑みといった感情は微塵もない。
むしろ、なぜか、目にかすかに喜びがある。
自信を持って話そう。
「最初は何だった? ターゲットも決めず、関係者にあたろうということになったよな」
ノーウェの夫、その義父、その義母。
「今にして思えば、かなり無茶な考えだった。いくらノーウェが気に入られていない嫁だったとしても」
警察が厳密かつ十分に調べた後だ。
新たな事実が判明するはずもない。
結局、彼らに罪があるのかどうか、それを掴むところにさえ行きつけなかった。
中でも、夫のユーリー。
待ち構えていたかのように再婚したことで、色めき立ちはした。
仲間内の披露パーティに、ジーオが参加してくれた。
行きたくもなかったろうに。情報収集のために。
でも、収穫無し。
この線は尻すぼみ。
なにかこう、無理やりな、あてずっぽうというか。
後が続かなかった。
俺達には掘り下げていく力もなかった。




