297 ずるい女
私は気づいた。
私はずるい女。
自分でもずるいってわかってたけど、ずるいだけの女であることを変えようとしなかった。
そこがまた、するいよ。
どんなことでも、自分では何もしないくせに、上手くいったら自分でやったふり。上手くいかなかったら人のせいにして。
ずるいというより、卑怯よね。
卑劣よね。
「おいおい。スペーシア、何を言い出すんだ。ボクとリハビリ、やるんだろ」
「でも」
「さっそく始めようぜ。看護師さん呼んでくる」
「やめて。それより、私の話、聞いて」
「ふん。そんな眠たい話、聞きたくないね」
「聞いてよ」
「いやだ」
「お願い。私、みんなに今日、どうしても謝りたいのよ。私にそれを気づかせてくれたこのお屋敷で」
学校の授業でもそう。
グループ課題でもそう。
チーム演習でもそう。
競馬サークルでもそう。
何もかもそう。
小さい時から。
それが自分だと思ってた。
ずるい自分が、私だと思ってた。
それでいいって。
それが自分なんだからって。
でも、それって、ごまかしよね。
人に対して、自分に対して。
周りの人に迷惑かけて甘えてるだけだって、やっとわかった。
そんな私を、本当はだれも信頼していない。
好意を持ってもくれていない。
適当にあしらってるだけ。
そう感じてたし、そう思っていた。
それでも、自分を変えようとしなかった。
昨日までは。
でも、私は変わりたい。
卑怯な心とお別れしたい。
実はね。
というか、気づいてるよね。
今までもずっと、気づかないふりをしてくれてたんだから。
曽根崎警察署にみんなと同じときに行かなかったのは、単なる見栄。
せっかくフウカが時間割まで作って誘ってくれたのに。
忙しいんだよっていうポーズ。
友達がたくさんいて、恋人もいて、っていう。
あんなに遅い時間に行ったのは、先生を見舞ったという証拠作りのため。
そんな時間に会えるはずがない。
でも、少なくともその日のうちに、行ったんだよっていうアリバイ作り。
卑しすぎるよね。
本当に、先生、みんな、ごめんなさい。
それで、結果、大怪我をしてしまった。
あろうことか、先生救出作戦の邪魔をして。
最低。
私、最低。
とことん最低。




