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291 作戦名 淀の坂

 作戦名、淀の坂。

 カニの攻撃に対するルアリアンの報復作戦。


 ルアリアンが一人殺される度に、カニ十五人を無効化、つまりアンマニフェストする作戦だそうだ。

 すでに二百人近くに上っているという。

 その中にルリイアも含まれてしまったということらしい。


 もちろん、カニのように首を絞めて殺してしまうという乱暴なやり方ではない。

 気絶させ、強引に、あるいは説得し、パクチー汁を飲ませる。

 その人の意識に潜むPHを洗い流してしまう。

 ルリイアの意識は、本当のルリイアだけのものになったというわけだ。


「耳に入れておこうと思って」


 作戦には、ルアリアンの幹部ヘッジホッグ以下、十名が参加しているという。

 ハジカミもそう。

 メイメイは、事務方という役回りだそうだ。

 

「そういや、グリーンは?」

 以前、殺されかけたと聞いた。

「それが……」

 再攻撃を受けて。

「だからヘッジホッグにとっては、仇討のつもり」

「まさか、憎しみを増幅させてないでしょうね」

 ハルニナは心配顔だ。



 俺をハジカミが襲った時、奴は、首を絞めて殺そうとした。

 今回の作戦では厳命されている。

 決して、その人を殺してはいけない。


 ターゲットはカニであれば、だれでもよい。

 除外するターゲットは選ばれていない。

 俺の時でさえそうだった。

 幹部の知人だから、というような理由で、その選別が行われてはならない。

 それがハルニナの意向だった。


「しかたない。本人にとってはいいことだったかも、って思おうか」


 そう思った。

 思いたかった。

 本人にとって、よかったかどうかはわからないが、死ななくてよかったということにしておくしかない。



「で、今は?」

「休んでる」

「そう。後で会いに行こうかな」

「それは……」

「そうね。特別扱いはしない趣旨に反するか」



 ルリイアは今、コアYDの深部で療養中だという。

 パクチー汁を飲んで、アンマニフェスト中。

 すぐに再始動できるわけではないようだ。

 肉体的には何ら問題はないが、意識が安定しない。

 発作的に意識が乱れ、普通の思考ができないどころか、錯乱状態になるそうだ。

 PHの断末魔とでもいうことか。


「リストを見ると、今日で二十日」

「それなら、もうすぐね」



 パクチー汁を飲んでから、発作が起きなくなる完全回復まで、概ね十五日ほどかかるそうだ。

 人によればもっと早いこともあるし、遅い人だと、つまりPHの力が強ければひと月ほどかかることもあるらしい。


「今、療養室にはどれくらいの人がいる?」

「三十三名」

「メイメイがついているから心配はしてないけど、問題は起きてない?」

「ぜんぜん」

「ちゃんとご接待してる?」

「抜かりはないよ。みんな、待遇について文句はないはず」

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