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197 今日は先生のところに泊まる

 今お話ししたのは、あのイベントを通じて、財団の方々とのお話から得た結論です。


 実は、それを知るために、その確信を得るために、周山企画にいました。

 進んでイベントのリーダーをしました。

 進んで財団との打ち合わせにも出ました。

 私は、一アルバイトだけど、名刺も作ってもらって、財団に出入りし、親しくして頂いた方もおられます。

 そして、聞き耳を立てました。

 不法なことはしていませんよ。


 私は、これを卒業論文にしようと思っています。

 先生、心配しなくてもいいですよ。

 ストレートな財団批判、なんてしませんから。

 高齢者が抱える問題を、財団のマスコットという切り口から明らかにしようとする意図ですから。 



 アイボリーの話が終わった。

 顔は先ほどまでと違って、幾分、紅潮していた。


「先生、ありがとうございます。聞いてくださって」


 なにも言えなかった。

 反応のしようもなかった。

 何が言いたかったのか。

 アイボリーの卒業論文、俺には一切関係ない。


 それに、このアイボリー。

 こんなふうに、バシバシ主張するタイプだったのか。

 まじめで勉強熱心でしっかり者という印象は持っていたが、ここまでとは。


 しかし。

 しかし、なぜ俺に。




 そんなことより、あれを聞こう。

 アイボリーがストレート勝負で来るなら、こちらも速球で。


「アイボリー、君はルアリアンか、カニか? それに、なぜ逃げた?」


 アイボリーが立ち上がった。

 答えてくれぬらしい。

 まあ、いい。

 聞かねばならぬことでもない。


 その疑問は頭に浮かんだままだが、これ以上、個人の、しかも若い女性の行動を詮索するような質問はできない。

 今は密室。俺の部屋。

 しかも深夜。


「駅まで送っていこうか」

 その道すがらにでも。



 違った。


「監視映像、見ましょうよ」

 とPCを操作しようとする。

「いや……」


 それは困る。

 何せ、時間が長い。時刻が時刻。


「大丈夫。長くても。お父さんに言ってきたから。今日は先生のところで泊まるかもって」

「嘘つくな!」


 どいつもこいつも!

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