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277/503

277 なにか、気持ちの、そのう、すれ違いでもあったのかと

 ルリイアからも報告があるという。


「さっき話題に出たキオウミさん。ノーウェ先輩の義理のお父さん、清掃会社の課長さん。彼に会ったから、その時のことを」


 ジンが前のめりになった。


「いよいよ真実が語られる。ワクワク」

「先走らない。そんな話なら、前置きなしにさっき話してる」



 先生、ごめんなさい。

 一緒に、って思ってたんですけど。


 全然、構わない。

 むしろ、ありがとう。



「今日、会議があって、キオウミさんも参加してたんです。会ったのにお悔やみを言わないわけにもいかず」

 で、聞いてみたという。


「息子さんとノーウェ先輩はどんな感じでしたか?」


 キオウミは目を剥いたという。


「どういう意味でしょう」

「ユーリーさんが再婚されると聞きました。ノーウェ先輩は相思相愛だっておっしゃっておられましたので、なにか、気持ちの、そのう、すれ違いでもあったのかと」



 ところが、驚くことに。

 キオウミさん、こう言ったんです。


 申し訳ないが、おっしゃっておられる意味が分かりません。

 相思相愛、それはノーウェの側から見たらそういうことになるんでしょう。

 まあ、はっきり言うと、うちの息子は騙されたようなもんですよ。あの女に。


 こう言うのもなんだが、うちの息子は安全牌みたいなもんだったんですよ。

 嫁が遊び呆けるためのね。


 他所にも男を作っていたようだし、給料も一銭たりとも家に入れない。

 生活費もマンションのローンも、すべてうちの息子が負担。

 あの女は給料を、己が遊ぶためだけに。


 いや、つまらない話をしてしまって、申し訳ない。



 キオウミさんは真っ赤になって謝って、頭を下げられました。

 そりゃそうでしょう。

 私はJRAに勤めていて、キオウミさんの会社に業務委託している立場なんですよ。

 いくら私が娘のような年頃だとしても、失礼でしょう。

 いきなり、嫁批判をぶち上げられてもね。



 ルリイアは大きくため息をついた。

 目にクマを作り、肌艶も悪い。

 最近、激務なのだろうか。


 ルリイアは仕事のことを口に出さないが、清掃員の言葉が蘇ってくる。

 歳の離れた清掃員の女性からお褒めの言葉をいただくほど、ルリイアは頑張っているということだ。


 思い出した。

 名は……。

 そうだ、アサツリ。

 ルリイアの上司。

 なにか、トラブルでもあったのではないか。

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