表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/414

2 プロローグ 弐の一 LOVE、ラブ

「これで作ってくれ」


 女が言うと、老婆はお守りのような小さな錦の袋をつまみ上げた。そして、問うた。

「何と封する」


 女は少し迷ったが、きっぱりと答えた。


「愛」


 案の定、目を上げた老婆の顔が引きつったかに見えた。

 乱れた白髪が逆立ったかにも見えた。

「なんじゃと」


「愛。LOVE、ラブ」



 実際は迷っていたわけではない。

 この言葉に決めてはあった。

 ただ、やはり照れくささがあった。


「おめえ、これがなにか、わかっておるのか」

「ああ、知っている」

「いいや、知らぬのじゃろう」

「知っているから頼みに来た」

「これらはみな、なにものかを封するためのものぞ」


 老婆が、並んだ品々の上に手を泳がせた。

 すすけた着物の袖からむき出しになった痩せ細った腕に、青筋が網の目のように浮き上がっていた。



 村を貫く通りから外れ、細く曲がりくねった小径の突き当り。

 雑草が生い茂る。

 ウンカが次々に顔に当たる。

 この先はもううっそうとした暗い杜。

 巨大な椋木の枝が、板葺きの屋根を覆うように伸びている。

 この木の葉は冬が来ても落ちることはない。

 不思議な森に密かに佇むあばら家一軒。


 ここに老婆は住んでいる。

 呪術師。

 平安の時代からここで、この商いをしているという。


 とすれば、元は人か。

 どうでもよい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ