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オアシス

「以上が報告になります」

 メリオスにある提督公室。

 着座しているエルにガロンは長机を挟んで報告書を提出する。

「存在しないはずの国家に奴隷船か」

 ペラペラと書類をめくり、一文一文に目を通す。

 フォセストリア大陸、ガンダル王国、セントリオ商会…

 そのすべてが彼女にとっては未知の単語であった。

「俄かには信じられん。

 フォセストリア大陸の場所はわかるか?」

「それに関しては、船の航海記録を調べればたどり着けるかと」

「そうか。

 だがまずは司令長官にこのことを報告せねばならん。

 ところで、保護した奴隷たちはどうした?」

「現在は医務室に収容しています。

 栄養不足気味ですが、命に別状ないとのこと」

「そうか。丁重に扱え、少しでも恩を売っておきたい」

「承知いたしました」

 提督の指示を承諾し、退室する。

 波の音が公室に静かに響く。

「インク切れか」

 筆先のインクがかすれ始めていることに気づき、筆をおく。

 棚のインクツボを見るも、中身は空。

「・・・・・」

 公室を出て売店に赴く。

 三人が並んで歩けるほどの通路。

 壁の掲示板には訓示が記されているほか、艦内で起きた事故の発生個所がマップ付きで示されている。

「これは、閣下!」

 エルの存在を認知するや、雑談に花を咲かせていた二人の部下が即座に姿勢を正して敬礼する。

 部下たちとすれ違いながら、売店に歩を進める。

 狭い艦内のオアシス。

 アヴィスと呼ばれる桃色の髪の女性士官が店主を務めており、筆記用具などの日用品から保存のきく菓子類まで幅広く陳列されている。

「これは提督、何かお求めですか?」

「ペンのインクが切れた、丁度いいものはあるか?」

「こちらはいかがでしょうか?」

 そう言ってインクが置かれている商品棚へ案内するアヴィス。

 最高権力者を相手に泰然とする彼女。

 並べられたインク壺から一つ選ぶと、会計を済ませて部屋に戻る。

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