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雷雨

 翌日、トーセイ海峡を抜けた機動艦隊はウルスラ海にて雷雨に包まれた。

 航空機を飛ばせない程の強烈な風雨が艦隊を襲い、艦橋に掲揚された軍艦旗と大将旗が激しく揺れる。

「全艦、見張りは警戒厳となせ」

 エルが指揮下の艦隊に下命。

 視界の効かない暴風で事故を起こさないように速度を落として慎重に航行する。

「報告、前方に船影を2隻確認」

 艦橋で見張りに就いていたティレルが座礁船を報告する。

「詳細を」

「木造の船が2隻、外大陸のものと見られます。

 商船と海賊船らしき、襲われている様子!」

 黒い布地に白いドクロのデザインの海賊旗をつけた船が、もう一方の船を攻撃している様を認識したティレルが即座に伝達する。

「水雷戦隊に伝達、前方に海賊船を確認、直ちに急行せよ。

 当艦隊は速力最大で可能な限り近づけ。戦闘用意」

「了解、速力最大、針路そのまま、戦闘用意、目標、前方の海賊船!」

 艦長であるレイラが交戦を指示。

 水雷戦隊に伝達を終えると、機関をフルで動かして最大速力で進む。

 雷雨の中、掲げられる戦闘旗。

 戦艦隊の左右後方に支援艦として展開していた駆逐艦4隻がメリオスを追い越し、海賊船へと向かって一目散に進む。

「それにしても雷雨の中を略奪とは、豪胆な真似をする」

「航空機を使えない環境を狙ったのかと。

 だとしてもかなり大胆ではありますが…」

「まさか、「キッド」ではあるまいな?」

 レイラとエルの会話を横耳に、ティレルは望遠鏡を左右に動かして他に異常がないかを確認する。

「対象以外に敵影確認できず」

「よろしい。防空レーダーを注視しろ。

 飛空竜への備えを怠るな」

 機関の駆動音が艦内に響く中、一条の稲妻が閃光と共に海に落ちる。

≪ザ…こちら駆逐艦レイセム。

 海賊船、こちらに気づきました。

 主砲の射程内です何時でも行けます!≫

「撃沈せよ」

《了解》

 提督の冷徹な指示に、レイセムは艦砲射撃を実行。

 12.7㎜の単装砲が火を噴き、海賊船の中央に命中する。

《命中、撃沈。

 これより人命救助に移る》

 真っ二つになって沈む海賊船。

 投げ出された船員が破片にしがみつき、商船に乗り込んでいた残党は茫然としている。

《海賊共に告ぐ、武器を捨てておとなしく投降しろ。

 抵抗を続けるのならば射殺する》

 駆逐艦アルマスの艦長が商船に乗り込んだ海賊たちに、スピーカーを通して降伏を勧告する。

 海面には木片などの浮遊物にしがみつく海賊たちが荒波に揺られ、駆逐艦に搭載された13mm機関銃が彼らに向けられる。

「投降する…」

 降伏勧告に、商船に乗り込んでいた切り込み隊長が剣と短銃を捨てて降伏。

 圧倒的な武力を持つ海軍に対して、海賊全員が隊長に従って武器を捨てる。

「敵海賊、降伏しました」

「救助活動に移れ。

 商船の生存者も探せ」

 アルマスの艦長であるロバート中佐が救助活動を指示。

 同時に旗艦であるメリオスに現状を伝達する。

《了解、嵐がやむまでその場で待機せよ。

 天候が回復次第、被害状況を確認する》

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