残党たち
王都陥落から7日後。
サンディアより遠く離れた森の奥に建つ遺跡にエルフたちが集まりだしていた。
先の戦での敗残兵の一部で、全員の表情は暗い。
「辿り着けたのはこれだけか…」
騎士が剣を置きながら、ポツリとつぶやく。
視界に映る同胞の数は50にも満たなく、ほとんどが体のどこかしらに戦傷がある。
「どうされますか、セストリア様?これではもう戦えません」
「・・・・・」
心配する側近の問いかけには答えず、セストリアと呼ばれた騎士は静かに兜を脱ぐ。
緑髪のオッドアイの女性。
首には王家の紋章の入ったアクセサリーが掛けられている。
「地図はあるか?フォリエ」
「ここに」
セストリアの前に広げられる、羊皮紙の地図。
旧都サンディアをはじめとするアルフォレス王国の都市や山河などが大まかに記されている。
「まず、私たちはここの遺跡で傷を癒す。
いくらガンダルの連中であっても、こんな辺鄙な場所にすぐに来ることは考えにくい。
そのあとは散らばった同胞たちを探しつつ、食料や武器を集める。
王国の奪還やガンダルへの報復は後回しだ」
天井から滴る水の音の響く中、セストリアたちは作戦を練っていく。
「まず、食料に関しては森の木の実を集めるほか、ウサギなどの小さな獣を狩って確保する。
出来れば畑を作って長期的に食料が確保できるようにしたいが、そんな目立つことをすればガンダルの連中に見つかってしまう」
「では、拠点を転々としながら動きますか?さながら遊牧民のように」
「そうだな、その方が本体の動きを特定されにくい」
食料を現地調達しながら拠点を移し続けるという、フォリエの提案を採用するとセストリアは再び地図に視線を移す。
「なら、態勢を整えたら森を抜けて北方へ向かおう。
川にかかる橋を破壊してしまえば、ガンダルの連中もすぐには追撃出来なくなるはずだ」
「同盟国に協力を要請するのはいかがでしょうか?」
「ダメだ」
同盟を頼るという手段を即座に否定する。
「どれだけ親交があったとしても、滅亡した国のために動いてくれるわけがない。
そもそもあいつらは兵を出さずに見殺しにしたんだ、むしろ敵だ」
「そうですか…」




