ガンダル王国
フォセストリア大陸東部、ガンダル王国、首都ゲルゲン。
分厚い城壁に囲まれた、美しい石造りの街並みが広がる王都を見下ろす巨城の一室。
ステンドグラスを始めとする豪奢な装飾のある謁見の間にて、1人の武人が王へ向かって歩く。
鎧を着た男の胸には勲章が煌めき、歩みは洗練されて無駄がない。
「陛下」
片膝をつき、拝謁の礼をとる。
「此度の侵攻作戦、レイリア王国の首都サンディアを制圧しましたことをご報告いたします。
これでエルフ共の持つ豊穣の大地も、晴れて王国の物です」
「うむ、ご苦労であった。
これで民たちも飢えから救われるだろう」
太い髭を撫でながら、王であるアレクサンドルが臣下の侵攻部隊の司令官を労う。
「して、エルフ共はどうした?」
「予定通り、捕虜は農奴として穀倉地帯に大部分を送りました。
また、捕らえた王族は大手の商会を通して奴隷として外大陸に売り飛ばす手筈です」
「そうか、エルフの王族はなかなかの上玉ゆえ、せめて1人くらいは妻にしてやりたかった」
外大陸に売り飛ばすということに名残惜しそうにするアレクサンドル。
「お言葉ではございますが、侵攻前に申し上げたように、敵国の女を妻にしてしまえば暗殺の危険がございます。
また、反逆の旗印にもなりかねないため、戦費の回収を兼ねて外大陸に売り飛ばすのが最も賢明な判断でございます」
「う、うむ…わかっておる」
臣下の諫言に残念そうにする王。
「そ、それで、残存勢力の処理はどうするつもりだ?」
「抵抗する者は始末し、投降したものは助命して捕虜とするように命じております。
幸い、エルフ共は首都であるサンディアに戦力を集めていたおかげで正規軍のほとんどを無力化することができました。
残存勢力の掃討も、3ヶ月もしないうちに完了するかと」
「そうか、最後までぬかりなく」
「仰せのままに」
不敵に笑う司令官ことカレッサ。
王に一礼して退室する。
整然と並ぶ、帯剣した衛兵の間を通り抜けて自室へと戻ると、扉の前で一人の部下が立っていた。
「カレッサ様、お耳に入れたいことがございます」
「部屋にはいれ」
人払いを兼ねて部下を部屋に入れると、用件を尋ねる。
「ご報告がございます、正規軍の敗残兵が各地の集落でレジスタンスを結成しているとの報告がありました」
「そうか」
冷静に返事を返す。
「火種はすべて消し去らねばならん、怪しい集落があれば見つけ次第制圧しろ」
「は、直ちに伝達します」
上官の命を承諾し、部下は駆け足で退室する。




