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逃走

―――女が森の方に逃げたぞ、追いかけろ!


 満月の照らす村落。

 略奪された集落に武装した男達の荒々しい声が響き渡る。

「なんとしてでもあの女を捕まえろ!捕まえたやつには俺直々に褒賞をくれてやる!」

 血の滴る抜き身の剣を片手に、勲章を胸に付けた正規軍の部隊長がそう叫んで部下にハッパをかける。

 周囲には武器を持った村人達の死体が転がり、檻車には手錠をした人々が詰められている。

 

―――はぁはぁはぁ…

 村から離れた森の中。

 金髪を月光に照らしながら一人の少女が走る。

 横に長い耳が特徴のエルフ。

 衣服は汚れ、木枝によって顔には傷がついている。

「神様、助けて…」

 首飾りを握り締めながらそう祈り、ただひたすらに走る。

「ワンワン!」

 後ろから犬型のモンスターの声が響く。

「こっちだ、捕まえろ!」

 使役するモンスターの後ろに続いて10人ほどの兵士が追跡、防具の重さをものともせずに森を走る。

「いや、来ないで!」

 長命種であるエルフたちを奴隷にして長期間の労働を強制させることを目的としたエルフ狩り。

 狂気的な人間たちに恐怖しながらも、少女は土地勘を活かして何とか追手との距離を開ける。

「きゃ!」

石につまづき、転倒。

痛む体を起こしながら、再び森を走る。

 息も絶え絶えになりながら森を抜けるも、衣服はボロボロ。

 遠くではいまだに自分を探す兵士たちの声が響き、刻一刻と確実にこちらに近づいている。

「はあ…はあ…ん…」

 何とか呼吸を整えると、逃げる際に持ち出した古地図を取り出す。

 そこには自分の村とその周囲の地勢が描かれており、現在地を把握して最適なルートを探す。

「港町…あそこなら交易船があるはず」

 地図に描かれた港町がここから近いことを確認すると、少女は国外への脱出を目指すべく夜陰に紛れて町へと歩き出す。

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