十三の世界 巷で噂の
なんか変な声が聞こえたんだが。まさか最近噂の……考えすぎ、だろうか。
だが、あんな悪党たっぷり感の笑い声なんてするだろうか。
少なくともシェフィ達ではないのは確かだな。
怪しいから隠れておくか。どこに隠れれば見つからないだろうか。
クローゼットとかかな。
クローゼットの中に隠れて怪しい男が帰るのを息を潜めて待つ。
「プシェ、迎えにきたよ」
なんてタイミングの悪い。これがジシェンだったら良かったがシェフィでは
「おょ、良い嬢ちゃんじゃねぇかぁ」
「えっ、僕男」
「嘘はいけなぁぜ、嬢ちゃん。ここは女の子が住んでるって下調べ済みだからよぉ」
やはり最近噂の女性の家に来る怪しい男か。
シェフィに気を取られている間に背後をなんて成功するか?
とりあえず近くにある武器になりそうなものは、シェフィには悪いがフライパンとか?
こっそり出てフライパンを持っていけば
「おぉ、こっちのも可愛い嬢ちゃんがいやがるな」
「プシェ、そんなところに隠れてたの?」
なんですぐにバレるんだ。まだクローゼットから出ただけなのに。
「こっちの嬢ちゃんも上ものだ」
「むぅ、プシェは僕のだから手ー出しちゃだめー!」
……うん。助けようとする必要性なんてなかったな。
これでも騎士科なんだからとか普段言っているだけある。
もはや、相手が可哀想になってくる過剰防衛だろうという現場が目の前にある。
「ふぅ」
なんだその一仕事終えたーみたいなのは。
手の甲で出てもいない汗を拭くような仕草。そして満足げな表情。
「プシェ、もう安全だよ」
そして笑顔のシェフィ。
まぁ、私一人だと確実に攫われていたから助かったのだが。
「それにしても、だめだよ危ないのに出てきちゃ」
「済まない。その、シェフィは怪我していないか?」
「うん。大丈夫だよ。あっ、これどうしようか。騎士達に連絡すれば良いかな」
何度か経験した事でもあるのかと思うほどの手際の良さ。
こんな危険な事を経験していて欲しくはないのだが。
「騎士が来るまで僕は待つけど、どうする?」
「私も待っている」
「うん」
本当に来る家を間違えているな。
武器も持っていないような相手に圧倒された挙句、目の前でこんな側から見ればいちゃついていると思われてもおかしくない光景を見せつけられているとは。
本当に同情してしまいそうだ。
「プシェ、危ないから今度からは一緒に行けるように話しておくよ。女の子一人で襲われそうになって怖い思いしているからって言えば納得してもらえると思うから」
「あ、ああ、頼む」
襲われそうになっていたのはどちらかというとシェフィの方な気がするんだが。そしてなぜ、こんな状況で笑顔を崩さずにいられる。




