やたら色気のある傭兵の男と、異世界転移した女の話
「──うそでしょ?」
渡来アスカ。32歳、独身。
いわゆるバリキャリ。
……いや、キャリではないか? 社畜。
仕事は有名PCメーカーのカスタマーサポート。
お客様からのメール、電話での問い合わせにチーム一体となって全力で応えることが業務。
そこのチームリーダーに抜擢され、仕事が忙しくなるタイミングで彼氏と別れ早5年。
チームは全員年下、挙げ句に昨日寿退社が決まった子がいたもんだから、
『いやぁ! 渡来くんもそろそろ貰い手、現れないもんかねぇ~』
なんて普段からセクハラ発言がキツい上司がチームどころか全体ミーティングで発言。
脳内でサンドバックの刑に処す。
帰ってネット小説でも読んでストレス発散しよ。
元来の面倒見のよさと、年下の子とばかり接しているもんだから、たまに。
たまぁーーーーーに、だれかに甘えたくなる時も、ある。
顔が良ければ、なお良し。
ほどよい筋肉もあれば、もっと良し。
最近筋トレ流行ってるから、多少ね?
やっぱ、甘えるなら年上?
(あ~あ、空からイケオジ降ってこねぇかな……ないか)
……なんて考えてたのがいけなかったのか。
上を見上げて歩いていたはずのわたしは、そのままドコかに落下。
状況も分からないまま謎の空間を落ち、──今に至る。
「モ、モンスターってやつぅ!?」
お約束な展開がとても悲しい。
異世界転移ってものなのか、夕方の街中だったはずの周囲は暗い森の中。
木々の隙間が辛うじて黒というよりは濃紺だったから、森と分かるけど。
ほぼ、真っ暗。闇。
……だけど、妙に目の前の生物ははっきりと目に映るなぁ。
待ってましたとばかりに、ふつうの熊の三倍の大きさの……ビッグベア?
……名前なんて、知らん!
やつが起き上がる。
「ムリムリムリムリムリ、ほんっーとーにムリ!!!!」
あれ、熊って逃げたらダメなんだっけ?
ええい、知るか。
すでに走り出していたわたしを止められる者など、いない。
(はぁっ。いろいろっ、はぁ。言いたいことっ、あるけどもっ!)
とにもかくにも、リスクヘッジ。
命の危機なんてもっての外だ。
ちなみにすでに危機が訪れた場合の対処法は、知らない。
『グォラアアァ!!!!』
「ぎゃーーーー!?」
熊ってそう叫ぶの!?
てか、足はっや!?
わたしが急に走り出して面食らった熊は、我に返ったのかすぐに追いついてくる。
四足歩行、ずるい!
こちとら仕事帰りのパンツスーツに、パンプス装備。
すこしはハンデを寄越せ、ちくしょう。
(──! 灯り……!?)
追いつかれるか否か、そのところで目の前に灯りが見えた。
まさに絶望のなかの希望の光。
「だ、っだれか! 誰かっ! いませんか!?」
こんなところに夜中誰かいるなら、さすがに猛者だかアウトドア上級者だろう。
ご迷惑も承知のうえ。
すがる思いで駆けながら声を絞り出す。
恐怖なのか、全力疾走にアラサーの体がついてこないのか。
声は裏返り足はもつれ、今にも倒れそうだ。
そうこうしている間に熊だかビッグベアーだかの鋭い爪が。
真後ろに迫ってきた──
「──退いとけ」
「!」
待望の、声。
男の、低く妙に気だるげで、でもどこか耳をくすぐる甘い声。
灯りの近くに腰を下ろしていたであろう、その声の主は徐々に暗闇から姿を現した。
(──!? い、イケオジぃ!?)
その声の持ち主に相応しい、もうすべてがわたしに刺さる男。
おそらく、40代前半ほど。
どこか色香を漂わす気だるげな眼と蒼い瞳。
その目にかからないくらいの前髪を横にながし、片側は耳にかけ鮮やかな翠色のピアスを覗かせる。
全体的には銀の髪は短くそろえ、男の顔や体を存分に見せびらかす。
目線をすこし下に移せばまるでファンタジーな世界の冒険者のような服装。
左腕はしっかり布に覆われているが、右腕は肩を晒している。
ゴツすぎず、かといって控え目でもない丁度よい筋肉、えぐい。
それと対となるように右足は長い布で覆われ、左足の装備だけが露わになっている。
「奥、行ってろ」
「は、はいっ」
あぶない。
今はトキメいている場合じゃない。
絶体絶命の大ピンチに現れたイケオジは、その手に剣を携えている。
「ったく、お前は対象じゃないんだが……」
不安な様子は、ない。
冷静さからして慣れているようだ。
わたしは邪魔にならないよう、灯りの少し奥で彼を見守る。
『グ、ゥゥ』
熊だかビッグベアーは、突然でてきた男に困惑しつつ、臨戦態勢をとる。
「お前はお呼びでないんだ、と」
ゆらりと姿勢を正して、イケオジが剣を構えれば、熊は一直線に立ち向かっていく。
(──あ、危ないっ!)
うそみたいに大きい熊。
そのままの勢いで襲われれば、たまったもんじゃない。
おそらく、即死。
でも、イケオジはどこか余裕そうだ。
「ベア鍋ねぇ……、あんま好きじゃねぇなぁ──っ」
『!』
「なっ」
はやい!
『ッガ』
駆けてくる熊を左斜めに躱して、そのまま反転。
熊のうしろから、縦に切り裂いた。
ヤツは地面へと前から倒れる。
獣肉って……たぶん、固いはず。
相当な腕力、もしくは良い武器?
分からないけど。
とにかく、この人は……強い。
余裕な態度もふくめて、そんな気がする。
仕事を終えた彼が、灯りのあるこちらにやってくる。
どうやら、灯りの正体は彼が焚火をしていたようだった。
(た、助かったぁ……)
彼がいなかったら、どうなってたことか。
感謝しかない。
「女ぁ一人で危ねぇだろ……。あ? なんだ……。あんた、呪い切れてんのか?」
「? あ、あの。危ないところ助けていただいて……ありがとうございます」
「まぁ、いいけど……。で? あんた、払えんの?」
「え?」
「呪い切れてんなら、あんたの過失。この時間に外にでて、傭兵を動かすんだから……そうだな。50で手をうとう」
「あの……すみません。お金……ですか?」
「他になんかある? ……あぁ。体で払ってくれるってんなら、まぁいいけど」
「──ええええぇ!?」
良くはない。
良くはないんだけど……。
それはそれでなんか不思議と魅かれるな!?
危険!
というか、そうか。
この人は傭兵さん? なのか。
冒険者とか、ハンターとか、そういう人たちかと思ってしまった。
「なんか変な格好だが……。あれか、家出したお嬢様? ……最近の金持ちの流行ってもんは分からねぇ」
(へ、変なのかな……)
服装のことなのか、ひとつに結んだ髪形がめずらしいのか。
「あの、たぶん持ち合わせがなくて……持ち物とかではダメですか?」
五十って単位がお金だとすれば、こんな大層なことをして頂いて五十円なはずはない。
状況的にもよくネット小説で読んだ異世界ってやつだろうし、通貨もちがうはず。
「ふぅん? まぁ、いいけど。見せてみろ」
(カバンは熊の時からなかったから……、たぶん現世にあるよなぁ)
現状、手持ちでお金になりそうなもの。
一、
チームリーダーに就任して、最初のボーナスで買った某有名ブランドのベルト。
二、
金持ちの流行ってのに一役買うかは分からないけど、一応オーダーメイドで作ってもらったスーツ。
三、
これまた作りがキレイでこっちで使ってもらえないこともないパンプス。ただし森を走って汚れあり。
これぐらいしかない。
仕事中アクセはつけないし、内勤だから時計もしないんだよなぁ。
「衣類か、靴か……この、ベルトです。……足りなければ、全部でも」
「誘ってんの?」
「ち、ちがいまぁーーーーす!!!!!!」
そう言われると、自分で言ったことが恥ずかしい。
ちがう、服をあげたいのであって、脱ぎたいワケじゃない……!
「俺は服だの靴だの、流行には疎いからな。もらうなら……、そのベルト。丈夫そうだし、装備を掛けるのにいいんじゃないか?」
「買った時は高かったんですけど……、おいくらぐらいになりますか?」
わたしは五万で買ったんだけど……高かったなぁ。
さっき言った50の日本円のレートっていくらなんだろう。
「細工も見事だし……、革も上質そうだ。ふぅん? この辺じゃ見ない技術だな。……高くつくだろうが、正直分からん」
大きい金色の凝った細工がされた留め具と、カーフレザーの黒いベルト。
めちゃめちゃに高かったから、こっちでもぜひ値がついて欲しい。
「ど、どうしましょう」
「はぁ、しゃあねぇな。……陽が登ったら拠点に戻るか」
「……?」
「詳しいもんに鑑定、してもらうかって話」
「あ、あぁ。なるほど……」
「……で、どうする?」
「な、なにをでしょう」
「なんだ。ご所望かと思ったが、違うのか」
「??」
「ま、いつでも言ってくれ」
ご所望って……、なにをだろう。
とりあえず、わたしには行くあてもない。
飲み水や食料だってないし、あんなサバイバルな世界だとしたらスーツで行動ってのも無理がある。
とにかく、お金。
それと、情報。
元の世界に戻れるかも分からない状況では、目の前のことが最優先だ。
この人がどういう人かは正直分からないけど……街、着いて行こう。
「とりあえず、あいつを処理するか」
そういえば、熊をそのまま放置してたな。
やっぱり、こういうのは他の生物が寄ってきたりするのかな。
「……? あんた、呪い切れてるどころか、マデの香りがしないが……」
「マデ?」
「……知らねぇの? ったく、どこのお嬢様なんだか」
「あの、お嬢様ではなくて……」
「ならただの世間知らずか?」
「うっ、まぁ……はい」
ほんとうは違うんだけど、「異世界から来ました~」なんて。
わたしでも未だに信じられないのに、簡単には言えない。
「はぁ……まぁいい。マデってのは、魔力を宿した木。んで、戦う術がない者は、その枝に退魔の魔法を施したものをふつうは持ち運ぶ」
なるほど、呪いってのはマデの枝に魔法? を込めてもらったものか。
効果は無制限じゃなくて一定時間で切れる……と。
異世界って分かってはいたけど、本当にちがう世界なんだなぁ。
「か、香りっていうのは……」
「香りがすんの、マデってのは。香木」
「へ、へぇ」
どんな香りなんだろう。
「危ないから、離れとけ」
「はいっ」
一緒に地に伏した熊の元へ近づき、傭兵さんの作業を見守る。
「あ……、あの名前。わたしはアスカです」
「レオ」
ぴ、ぴったりな名前だ……!
作業に集中して、ぶっきらぼうに答えるその声が名前と妙にマッチする。
孤高の狼ってイメージ、彼にぴったり……。
……あれ、レオって獅子だな。
まぁ、どちらでも似合ってる。
「『実行』」
「っうわ」
レオさんが懐から畳んであった一枚の紙を取り出す。
それを広げてなにか唱えると、紙から炎が舞い上がった。
そのまま炎は熊に燃え移り、ふつうの火ではあり得ない……尋常じゃない速度で燃やし尽くす。
(魔法の火だから、あんな風に……?)
まるで、ゲームで敵をたおしたら勝手に消滅するかのようだ。
熊は塵となって、文字通り消えた。
「まさか……あんた、術屋も知らないんじゃないよな?」
「え……と、知らない、です。……はい」
「あーーーー、ったく。そっちも行くか……どうせあいつに用があるし」
「……?」
「あんた、いつも傭兵がこうも親切とは限らないからな。気を付けろよ」
「も、もちろんです」
こんな危険なモンスター? 魔物? と渡り合う仕事だ。
いくら報酬のためとはいえ、日本でいう『サービス』を彼らに求めるのは違うだろうし。
「──っ!? いたっ」
屈んで燃えるのを二人で見守っていたので、立ち上がろうとした。
したのだが、なにやら左足に痛みが走る。
(あー。パンプスで走ったから、靴ずれ?)
予想どおり、ちらっとパンプスを脱いで見てみれば、皮が一か所むけている。
「? どうした」
「い、いえ。なんでも……」
いくらなんでも、これ以上迷惑かけられない……。
「……あー、足。痛めたか」
「これくらい、大丈夫です」
「あんたが良くてもなぁ。陽が登ったら、歩くんだぞ」
「時間が経てば、治り──っ!?」
ます! と言おうとした瞬間。
体がふわっと浮く感覚。
「──!?!?」
「舌噛むから黙ってろ、な?」
気付いたら、レオさんに横抱きにされていた。
お、お姫様抱っこってやつですかー!?
「あああぁのぉぉおお!」
「いいから、いいから」
そのまま軽々とわたしを焚火の元へ運ぶ。
アラサーにて人生初のお姫様抱っこを経験するとは……人生なにがあるか分からん!
しかも相手はイケオジ。
「す、すいません……。重いですよね」
「別に?」
「そうですかっ……」
恥ずかしい。
ものすんごい、恥ずかしい。
顔が真っ赤なのが自分でわかる。
それに、肩が露わになってる方を頭に横抱きにされているから、その。
汗ばむ感じが伝わってきて、妙に緊張する。
しかし……いい筋肉だ。
さぞ鍛錬されているのだろう。
わたしは自分では気付かないほどうっとりした目で見ていたようだ。
「……んな物欲しそうな眼で見んなって」
「み、見てませんから!」
「ジョーダン」
うそです、すみません。
見ていたかもしれません。
「ん」
「あ、ありがとうございます」
元々レオさんが座っていたであろう、横たわった木の上に腰掛ける。
改めて、周りを見渡せば……なんというか。
海外の森、って感じだ。
背の高い木が多くて、葉を付ける位置が高い。
木々は杉……とか、日本でみるようなものではないと思う。
一番ちかいものを見れば、幹が白いのもある。
やっぱり……、異世界。だよなぁ。
(ん? ちょ、ちょっとおおおおお!!!!)
ぼんやりと周りを見ていると、レオさんが今度はタバコ……いや、葉巻のようなものを取り出す。
「『実行』、『回復』」
魔法の一種……?
たしかに葉巻の一番外側、本来は葉っぱを乾燥させたようなものにあたるものは先程懐から取り出した魔法陣の描かれたシートに似ている。
それにしても、えっろい。
現世のタバコとちがってフィルターがないのか、口に付けることなく出てきた煙だけを吸っては吐いている。
その一連の行動は、以前タバコでも感じたことはあるが妙に色っぽい。
息を吸う瞬間に半開きになる口元。
空気が肺に入りふくらむ胸。
口元に寄せる無骨な手と、その腕。
息を出す、とがる唇が顔の輪郭の一部となる瞬間。
すべてが、わたしの需要でしかない。
(あ、……それやばぁ)
息を吐き出す瞬間すこし上を見上げ、そのままの角度で横にいるわたしを見る。
流し目、伏し目、見下し。
仕草から、目がはなせない。
「……なんだ、興味あるのか?」
「い、いえ」
「ふぅん」
ということは、これはマデの枝のような……一般的なものとはちがうのかな?
「俺に魔力はないが、魔力なしが魔術具をつかうと普通に体うごかすより体力がもっていかれる。回復してんだ」
「な、なるほど」
「特に魔力のない物質に魔法陣を刻んだ魔術具、これがな」
「なるほど……なるほど?」
「マデの木は便利ってことだけ覚えとけ」
マデの木は便利、わたし覚えた。
「腹は減ってねぇのか?」
「あ、はい。たぶん、緊張の連続で……」
主に、あなたへのですけども。
「ふぅん? まぁ、ヴィッシュくらい分けてやる。言えよ」
「お気遣いありがとうございます……」
ヴィッシュってなんだろう。
キッシュ? それとも果物だろうか。
「女ぁ地面に寝かせるのもな」
「あ、大丈夫です。お構いなく」
男女平等ですからね。
命の恩人が地面なのに、贅沢いいません。
「んなこと言ったってなぁ。……それか外套が一枚だけならある。……一緒に寝るか?」
「いっっ!? っしょは、ムリです! いろいろと!」
間違いなく朝を迎える前に天に昇ってる。
「だから、襲わねぇって……。それとも、なんだ──」
──期待、してんの?
唐突にふっと現れた影は、彼のものだと気付く。
耳打ちするように近づき、そう囁かれる。
いたずらに笑んだような声と、耳にかかる息。
もう全部が、一度にわたしの脳内に響いて、体を駆け巡る。
(み、耳がああああ! 耳はやばいってえええぇ!)
おかしい、まだ歩いてもないのに体力はゼロ。
レオさんは、あれだな。女好きだ。きっと。
それで、からかうのが趣味なんだ。
くそぅ、似合うのがはらたつ。
「信用ねぇーのな」
わたしの側から元の位置へ居直り、べっと舌をだしながら言う。
ちょっと?
イケオジで、可愛い属性もお持ちなのですか……?
ほんとうに無理。
わたしの推しはどうやら異世界にいた模様。
そりゃ中々出会えないね。
しょうがないね。
………………
…………
……
「目ぇ覚めたか?」
「ん……、おはよう、ございます……」
ぜんぜん地面で寝れてしまった。
緊張の連続で、気疲れした模様。
といっても、レオさんの外套を地面に敷かせて頂いたのだが。
夜間安全に寝れたのは、レオさんがひとりで何か作業をしていたおかげだと思う。
「ありがとう、ございました」
「ん」
丁寧に土を払って、持ち主へ返す。
木々の合間をぬって差し込む陽射しが、レオさんへとかかると妙に色っぽいのはなんでだ?
「ちっ。女ぁ地面に寝かせたとか、ギルドの奴らには言えねぇ」
「そういうものですか?」
「そういうもん」
「へぇ……」
男のプライド……ってやつだろうか。
どういうものなんだろうなぁ。
「そういえば、レオさんはここに何しに来ていたんですか?」
「魔物退治」
「あ、やっぱり」
「昨夜は出なかったな、また来るさ」
「なんか、すみません」
「それはいいんだが……40分も歩けるか?」
「あ、ぜんぜん。余裕です」
「ふぅん?」
四十分なら、余裕じゃないのかな?
歩くの好きだし。
こっちの人は歩かないのかな?
あれか、女性は家を守るもの! みたいな社会。
……あ、でもパンプスでってなるとちょっとあれか。
「……休みながら行く。心配すんな」
「え!? あ、ありがとうございます……」
「準備できたら行くぞ」
さすが、女慣れしているとそういうところにも目が行くんだろうか。
◇
「おおおぉ……」
森の奥深くに入っていたらしいわたし達は、まずは森の要所に抜けた。
宣言どおり休憩を挟みつつ、約40分ほど。
現世ほどきれいに舗装された道、ってわけにはいかなかったけど。
レオさんのような傭兵さんとかが、あの森にはよく出入りしているみたいで。
人の踏み締めた跡が、しっかり道をつくっていた。
それにならって、40分。
(思ったよりは、大変じゃなかったな)
土や植物を踏みしめる感覚が直にパンプスに伝わって、若干道路を歩くより痛かったけど。
それでもこまめに休憩をとってくれたおかげで、難なく街に着いた。
予想はしていたけど、ファンタジーな世界が題材のゲームにでてきそうな街。
もちろんコンクリートじゃなくて、石を敷き詰めたり、土を固めて作られた道が街の入り口まで続いている。
オレンジ色の……レンガだろうか?
屋根はキレイに統一されていて。周囲には窓を備えた壁が囲み。
大きな物見の塔と一緒になった、街に入る門がある。
「エンハルド。最近の拠点」
「へぇ」
「鑑定なら……、でかい街でもねぇとギルドが一番だな」
「ギルド!」
「知ってんのか?」
「ええと、冒険者ギルド……とか? もしくは、商業ギルド?」
「冒険者? 探検者……とは別か。遠い地方の名称か?」
「あ、いえ。忘れてください……」
まさか、他の世界のマンガやゲームの知識です! とは言えない。
「俺みてぇな傭兵だの、狩人だの、魔物専門の狩人だの……。たまに職人だの。まぁ荒くれもんが集う場所って思っとけ」
「酒場も一緒に?」
「やっぱ知ってんのか」
「いえ、なんとなく」
そこは、合っているみたいだ。
「商業ギルド? かは知らねぇが、まぁそうだな。俺たちが素材を納品する場所でもあるし、想像したので合ってるんじゃねぇか?」
「おおぉ」
「行くぞ」
すたすたと慣れた様子で歩くレオさんの後を着いて行く。
(す、……すごい)
まさか、仕事帰りの姿で異世界の街を歩くとは。
わたしだけ完全に浮いている。
レオさんがかっこいいというのもあるかもだけど。
明らかにわたしにも街の人の視線が集まる。
き、気まずい……。
気を紛らわすように周りをみれば、現世とは違う街並みで興味がわく。
(あの木造の階段は……なんだろう? 建物にくっついてる訳じゃないから、演説場?)
こっちの世界に拡声器なんてないだろうし、そうなんだろうなぁ。
(荷車そのままに、商売してる人もいるんだな)
現世でいうところの、車の移動販売?
「──おい」
「っわ!?」
「? 着いたぞ」
周りに集中していると、いつの間にか目的地だったようだ。
「俺から離れんなよ?」
「も、もちろんです」
「なら、いい」
荒くれ者って言ってたから、やっぱり女の人は出入りしないところなのかな?
わたしでいうと、目元から膝上までの両開きの扉をレオさんが開けた。
「──おやぁ、銀狼じゃないか! 女連れたぁ珍しい」
カウンターの向こうにいる、オールバックで髪を結んだ男性が声をかける。
経営者?
ギルドの受付の人、とかかな。
それにしても銀狼ってレオさんのことだろうか。
やっぱり、狼ってイメージ合ってたんだ。
「はっ、たまには見せつけねぇとな」
「よく言うぜ! リディーを泣かせたくせによぉ」
「着いてくんなって言ってんのに、来る方がわりぃだろ」
「おーおー! 言ってみてぇよなぁ! なぁ?」
「ちがいねぇ」
「姉ちゃん、気を付けな! こいつは国いちばんの女泣かせだぜ!」
「あ、あはは……」
「うるせぇ、勝手に言ってろ」
やっぱり、レオさんは有名人なんだろうか。……色んな意味で。
まぁ、確かに気持ちはわかる。
ちょっと危ないと分かっていても、惚れちゃう女の人の気持ち。
「それで? 色男がなんの用で?」
「鑑定。細工職人は来てるか?」
「ありゃ、間がわるいね。昨日まではいたんだが……、次にここに来るのは三日後だな」
「三日後……か」
「急ぎかい?」
「いや、……いい」
「え!?」
鑑定できる人がいないのは仕方ないけど、急ぎっちゃ急ぎでは……。
「用事あるし、あいつに頼むわ」
「相変わらず、行く先々に来てるんだな?」
「勝手に来るだけだ」
「女には容赦ないのに、ねぇ」
「まぁ、おれたちゃ魔術師には逆らえねぇよなぁ」
(誰のことだろ……?)
「邪魔したな」
「おう、相方によろしくな」
「ちげぇっつの」
用事のなくなったレオさんは、足早にギルドを去る。
「──どこに行くんですか?」
「知り合いんとこ」
さっき言ってた、相方とか魔術師とか言ってた人のことかな?
「こっち」
「あ、はいっ」
場所はそう遠くないようで、ギルドを出て左。
街の人が談笑している、こじんまりとした広場をさらに抜ける。
(やっぱ、服装とかもまんま異世界だなぁ)
貴族やお金持ちはまた違うんだろうけど。
柄という柄はなく、大胆に一色に染色されたワンピースと、色とサイズの違うロングスカートを合わせたり。
男性も、チュニックと言えばいいのか。
ゆったり長めの上着に、腰では紐やベルトでメリハリをつけて、ズボンをはいている。
うーん。ファンタジー世界のイメージどおり。
「着いたぞ」
「あ、はい──」
(え!?)
ちょ、待って。
え? ほんとうに、ここ!?
わたしの想像が、合っていたらなんだけど……。
二階建てで貴族の屋敷ではないだろうに、小窓が多く。
おそらく夜に一番繁盛するであろう、ランプ? 魔術具? が多く並び。
入り口は豪華な彫刻の入った扉。
果ては出入りしている、わりと裕福そうな男性たち。
(しょ……娼館じゃないよね!?)
さすがに、女連れでそんなところには来ないよね?
「? なにしてんだ」
「ちょっと店構えにびっくりして……」
「そうか? でけぇ街はもっと造りもでかいぞ」
「あ、そういうことではなく……」
なんでそんなに普通なの。
慣れてるのか? ……慣れてるんだろうなぁ。
出入りする男性たちも、レオさんが有名だからか、はたまた女連れが珍しいのか。
みな一様にわたし達を見ていく。
「入るぞ」
ええい、わたしのベルトのためだ。
覚悟を決めろ!
「……わぁ!」
やはり、というか。中は煌びやか。
外から見ると、そうは見えないけど中だけ見れば貴族の屋敷とそう大差はなさそう。
一階は受付と客が談笑する用なのか、テーブルとイスが用意されている。
絨毯も敷かれているし、壁にも絵が描かれたり、紋様が描かれたりと手の込んだ造り。
慣れた様子でレオさんは受付にいく。
「ワイズマン、空いてるか?」
(な、なんだか知的な名前の人だな)
娼婦さん、だろうか……。
源氏名の由来はなんなんだろう。
気になる。
「2階の突き当り」
「一等部屋か。やるじゃねぇか」
「ったく。誰のおかげだ、誰の」
「いくらだ?」
「20」
「ふぅん、まぁ。……妥当か」
「……気を付けろよ。熱烈な信者も街に来ているらしい」
「ったく、金持ちの独占欲には理解が追い付かねぇな」
「ワイズマンのことも考えるなら、無茶はせんどいてくれ」
「言われなくても」
(売れっ子さん……!?)
お金持ちにファンがいるって、相当売れてるんだろうなぁ。
……というか、わたし居ていいわけ?
それとも、特殊な性癖をお持ちの方なんだろうか。
「おい?」
「あ、行きます行きます」
危ない危ない、こんなところで置いて行かれたら身の振り方が分からない。
受付近くにあった木造の階段を上がり、一番奥の部屋の前へ。
き、緊張する……。
というか、娼婦さんが鑑定してくれるの?
「分かってんだろ、入るぞ」
『──どうぞ』
ノックをすることなく、声をかける。
以心伝心ってやつか。
というか、お声が……?
「し、失礼します……?」
「おい、お前また値上がりしてんぞ」
「さぁ? 決めるのは私じゃないですから」
「都でもねぇのに20かよ」
……?
んん……?
いや、とてもお美しい。美人さん。
黒の長い髪が艶やかで、肌も白く。
優しげな表情は、なるほど売れっ子も納得だ……と。
いや、しかし。
声はなめらかとはいえ……男性の声だ。
それに、澄んだみどりの瞳はこっちを映してない……?
「はじめまして、ワイズマンと申します」
「! あ、はじめまして。アスカと……申します……?」
「レオ、戸惑っていらっしゃるじゃないですか」
「お前が原因だろ」
「どうせきちんとした説明もしていないのでしょう。……アスカさん? 私は、魔術師です。よくレオの呪いや魔術具の調整をしたりしています」
「あ、魔術師さんでしたか!?」
「……なんだと思ってたんだ」
「し、失礼ながら……店構えからも娼館かと……」
「「……」」
あああぁぁ、とんだ勘違いだった。
ギルドで言ってたけど、でもさぁ!
魔術師のいる場所がこういう施設だって、思わないじゃん!
あれか、占いの館的な感じなのか?
「なるほど、レオのことをよくご存知で」
「おい」
「冗談はさておいて、少しだけ不安を解消させていただくと……。ご想像どおり私の目は視えておりません」
「! あ、すみません。じっと見てしまって」
いやな視線、……雰囲気?
感じさせてしまっただろうか。
「いえいえ。どうやらご存知なさそうですので、申し上げておくと。こと人間において、魔力というものは、……不運にあった者に授けられるものだそうですよ」
「不運……?」
「ええ、私であればご想像どおり。他には……そうですね、身内や恋人を亡くしたり、腕を失くしたり、……それから記憶をなくしたり」
なんだか、わたしの想像していた魔法とは、ちょっと違う。
不運……か。
「代わりと言ってはなんですが、魔力のおかげで職に困ることはありません」
「お前の場合は魔力なくても困らんだろ」
「そうですか?」
「そうだろ」
「ええと、じゃぁ……その魔法? で、わたしのベルトを鑑定して頂けるんでしょうか?」
「いいえ。もっと価値あるものを見付けたので、お伝えします」
「?」
「は? お前、視てたろ」
「だって、もったいないではないですか」
「何が言いたい?」
「お嬢さん、とても素敵な魔力をお持ちですよ」
「「……」」
魔力……?
わたし、が?
「え、ええええぇ!?!?」
「は?」
わたし、なんか不運な目に遭ったっけ……?
……。
…………。
………………。
あ。
「もしかして、わたしのことって……?」
「ええ、とても大変でしたね。もう元の世界に戻れないだなんて」
「どういうことだ?」
「お嬢さんは、こことは違う世界から来られたんですよ。そしてもう……戻れないという悲劇にあわれましたので、魔力をお持ちかと。神がまちがって穴を開いてしまったんでしょうか」
な、なんで分かるんだ……!?
魔力って、そんなに万能なの。
それに、もう。
ちょっと想像はしてたけれども。
……元の世界には戻れないのかぁ。
やばい。
実感したら、泣きそう。
「お前さ、先に言えよ」
「どうしてです?」
「はぁ……。まぁ、いいけど」
「ですので、ほら。レオは良い拾いものをしましたし、お嬢さんは生きる術を身に着けられる。これでめでたしですね」
「あのなぁ」
「い、いえ。そんなレオさんに迷惑は……っ!」
さすがに世話になりっぱなしというのも気がひける。
ベルトも換金できていないし、今わたしが渡せるものは何もない。
……まぁ、たしかに当てはまったくないんだけど。
でも、なぁ。
「俺ぁ魔術師のことはなんも分からねぇ」
「いいじゃないですか、徐々にで」
「お前、他人事だからって──」
「忍耐の修行、ですよ。レオ」
「はぁ? 嫌がらせじゃねぇだろうな」
「まさか。街の人気者であるリディーを弄んだなんて、聞いてませんとも」
「人聞き悪いこと言うなっつーの」
「お嬢さん、今後の心配はしなくとも、この男が保障しますからね。代わりに魔力をつかえるよう修行して、この男の役に立ってあげてください」
「それで、お返しになるんでしょうか……?」
「はい。詳しくお伝えできませんが、魔術師の稼ぎというのは中々のものですよ」
「そうなんですね……!?」
たしかに。
ここに来るとき出入りしていた人は、裕福そうだったもんなぁ。
「正直、……あなたが羨ましいです。とても」
「?」
なんの、ことだろう。
異世界に落っこちたとはいえ、不運というには健康だからだろうか。
「ワイズマン」
「ふふ、失言でした。忘れてください」
「こいつは一応、売れっ子だからな。俺と旅できるあんたが羨ましいんだと」
あぁ、そういう意味か。
やっぱり制約ある場所で働くより、知り合いと気ままに旅した方が気持ちはいいよね。
売れっ子だと忙しいだろうし。
「おや。おねだりすれば、連れて行っていただけるのですか?」
「ばかいえ、お前の顧客に殺されるわ」
「でしたら……。外してくださっても結構ですのに」
「全能の神のご加護ってのがありゃぁ、大抵の依頼は怖くねぇよ」
「あいかわらず、お優しいのですね」
「有効活用ってやつだ、勘違いすんな」
「そういうことに、しておきましょうか」
「女みてぇなこと言うなっての」
「女ではないから、許されているのでしょう?」
「口の減らねぇ」
ワイズマンさんの年齢は、レオさんの一回りは離れてると思うんだけど……。
気の置けない仲間、って感じがするな。
一緒に旅、したかっただろうなぁ。
なんか、心苦しい。
「ったくよぉ、お荷物運んでちゃ商売あがったりだっての」
「す、すみません……」
「別に」
「素直じゃないだけですよ」
「ばかいえ」
魔力をがんばって使えるようになれば、あの火を起こす魔法陣だったり。
生活必需品ぽいマデの枝に退魔の魔法をかけたり。
そういうのができたら、レオさんの役に立てるのかな……?
「……言っとくけど、あんた魔力あるって俺ら以外に言ったら終わるぞ?」
「え゛」
「魔術師とは管理される側ですからねぇ。私も、簡単には仕事を離れられなくて」
「別に、あんたがずっとこういう場所で商売していいってなら話は別だが」
「い、いえ。レオさんと一緒がいいです」
「……」
「おや、素直で可愛らしい。今までにない気質のお方ですね」
「うるせぇ」
「?」
「無自覚ってのはこえぇな」
◇
「あの……、本当にご迷惑では……」
「うるせぇ」
(ひいいいいい!)
なんか結局、流れで着いて行ってもいい雰囲気。
命助けてもらったから、もちろん恩返ししたいけど。
……ぜったい足引っ張るよなぁ。
レオさんには魔力がないらしいし、修行をするなら魔術師の元が一番だと思うんだけど……。
もしかして、異世界の人間って知ったから、怖い目にあわないように気を配ってくれてる……とか?
「まずは飯か……? いや、服も変えねぇと。ちっ、勝手がわからん」
「その……、ワイズマンさんに師事するとかは、無理なんでしょうか? 今のままだと、お役に立てなくて……」
「あいつは無理。貴族も御用達の、超売れっ子だから」
「へぇ……」
たしかにお綺麗な方だし、レオさんが信頼するくらいだから、魔術師としても凄腕なんだろうな。
「ご友人、なんですか?」
「どうだろうな。……拾いもん?」
「え゛」
それは、人間としてどうなんだ。
「世話できねぇなら拾わねぇし、あいつは一人でちゃんと立つ」
「! やっぱり、ご友人なんですね」
「ばかいえ」
そんなに信頼しているなら、きっと色々と一緒に乗り越えてきたんだろうなぁ。
呪い? で魔物を倒したり、魔術具をつくってもらったり。とか。
「あ、……そういえば。リディーさんって方はいいんですか?」
「は?」
「なんか、着いて来てるとかなんとか……」
「別に。……それともなに? アスカがいると、俺が女に困るって心配してくれてんの?」
(ぎゃあああああ!!!!)
な、名前!
イケオジが……わたしのなまえをおおおお!!
破壊力が、えぐい。
「ナシナシナシナシ。今のナシで!」
「なんだ、つまんねぇ」
女性関係の話題、マジで危ない。
いや、レオさんが他の女性におモテになるのはね、もう決められた運命ですよ。
こんなにかっこいいんだから。
でも、毎日いたずらな色気を浴びて……。
この先わたしの心臓、持つのか!?
「っあ、あのー。ふつうは魔術師って、やっぱりワイズマンさんとこみたいに、店? を通すんですよね?」
「まぁ」
「じゃぁ、仮にわたしが一人前になってレオさんと直接やり取りしたら……、その。そういうのって、中抜きって言わないんですか?」
「術屋の心配してんの? あんた、優しいんだな。この業界じゃまず生きていけねぇ」
で、ですよね~!
「や、やっぱり一定数はわたしみたいな、野良の魔術師っていらっしゃるんですね」
「そらな。気軽に術屋にいけねぇ庶民にとっちゃ、たまったもんじゃねぇ。……ただし、売り上げにも関わるし腕前は天と地の差だな」
「へぇ~」
「ばれずにやる。それだけだ」
「な、なるほど……」
だ、大丈夫かな……。
「……まぁ、どうにかなるだろ」
「具体的に、どういう修行をすれば……?」
「知らねぇ」
「ええー!?」
「とりあえず、俺の相手からな」
「相手?」
「…………はぁ。もういい」
「相手…………、!?」
そういう、ことですか!?
「修行、関係ないですよね!?」
「ちっ」
「ワイズマンさんにちゃんと聞いておけばよかった……」
レオさんによると、全てを見通すと言われるワイズマンさんは、レオさんが次に行く拠点に先に着いているらしい。
まずはここの街の討伐依頼を終わらせて、拠点を移るみたいだ。
「アスカはあれだな、魔力がどうの以前に、一般の知識」
「あ、それはほんとに。教えてください、お願いします」
「そうだな……、対価。楽しみにしとく」
「え゛」
た、確かに傭兵さんだもんな……。
「はやくベルト換金したいです……」
「そう慌てんなって」
もう元の世界にはもどれないと知ると、色々と思い切りがよくなる。
この世界で生きるしかない。
ならもう、前に進むしかないのだ。
それにしたって……。
ぼんやり考えながら、異世界転移した訳だけど。
結局、願い事……ある意味叶ったのでは?
降ってきたのはわたしだし、遊び人なレオさんだけど……。
(──イケオジ、さいっこおおおぉぉぉ~!)
──了──
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
恋愛ものを書いても、どうしてもファンタジーに寄ってしまう私がいます。はい。
銀髪のイケオジが降ってこないかなと思い、書いてみました。
活動報告に、作中で説明しきらなかった軽ーい設定と。
おまけでワイズマンと銀狼の過去SS書きました。
設定の部分は、ぜひ読んでいただけたら。
SSは(多分)BLではないですが、(多分)深い友情はありますので苦手な方はご注意ください。
ご注意ください。(二回目)
ではでは。