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病院の母親にために頑張って願いを叶えるランプの精を召喚したってのに、肝心の願いが「大きなイチモツをください」ってどういう事???

作者: 黒豆100%パン


「ふむ...あいつは頑張っているようだな」



その男は小さなランプの中で、我はその映像を眺めてそう言いながら頷いた。その男はこの我を出現させる条件を満たそうと奮闘していた。条件と言っても十字架や六芒陣を描くための特別なチョークなど色々なアイテムが必要なのだ。そして我は、さまざまな条件を満たして儀式をするとモクモクと煙を噴き出しながら現れ、願いを叶えてくれるのだ。いわばランプの精というやつだ。

我は自分を召喚する人物の境遇や頑張りなどを事前に見て、出て行って願いを叶えるのに相応しいかをランプの中で見ているのだ。その頑張りが少ないと叶えてあげない事もある。



「よし、願いを叶えてやろうかな。早く我を召喚するといい」



その言葉を言うとどうやらせいこうしたようで、ランプからモクモクと煙を吹き出して飛び出す。この我を召喚したのは髭の生やしたダンディな感じの男だ。帽子と胸元が見えるほどボタンを開けたシャツを着ている。胸元からは毛はがチラッとみえている。



「さあ、願いを言え」



「ははあ!では...」


といっても我は、ランプを拾われた時からこの男の事はずっと見ていたので知っているのだが。自分からは言えず願いを言ってくれないと叶えられないと言う厳格なルールがある以上、いくら知っていてもダンディーな男の口から言ってくれないと意味がないのだ。「自分の母親の病を治してほしい」と。



「大きなイチモツをください」



「はっ??」



「大きなイチモツをください」



何を言っているのかと思った。このダンディー男の願いは親の病のはずだ。突然イチモツって何を言ってるんだ?と我は思う。そう、イチモツってあれだろう?男の...アレだ。これ以上言うと怒られそうなので言わないが。聞き間違えかと思いもう一度聞いてみる事にした。



「願いをもう一度頼む」



「大きなイチモツをください」



「ふざけているのか??」



我は少しキレ気味でそう言った。そりゃあそうだろう。男は病を治すために我を呼んだのだ。なのにイチモツをください??そりゃあふざけていると思われていてもおかしく無い。確かにこの男は「ランプの精に頼んで直してやるからね」と倒れている母親に話しかけているのを見ているので言質をとっている。少し怒っている我に「冗談です」とダンディーな男は言う。



「母親の病を治してください」



「最初からそう言え」



「それと...」



「何だ?願いは1つだぞ」



「大きなイチモツをください」



我は「はあ...」とため息をついた。またそれか、どんだけこいつは大きなイチモツが欲しいのか。イチモツって言いすぎてそろそろ怒られるのでは無いか?まあそれはそれとして、どうしてやろうか...。



「少し考えてからもう一度来い」



「え??」



そう言い我はランプの中にするすると入っていった。イチモツなんていう奴の願いを叶えてやろうとは思うだろうか?いや、思わない。なんでもそんなやつの願いを叶えなければならないのか。なんというか、なんて言えばいいのか。自分の事しか考えてない...と言えばいいのか何と言えばいいのか、ともかくイチモツというワードを排除してからきて欲しい。そのダンディー男を見ていると家で唸っていた。




「何がいけなかったんだ??」



「どうしたんだい?」



「母さん!!」



「お前はいつも考え無しに行って跳ね返ってきてから考えるね。ゴホッゴホッ!!」



「母さん起き上がらないで!!」



起きあがろうとするダンディー男の母をそっと寝かせる。そして母親を見ながらダンディー男はまた唸った。目の前の弱々しい母親を見て溜息をつく。



「考えているな。せいぜい考えることだ」



俺はその光景を見ながらそんな事を呟く。少し試練を与えてやろうと直接そのダンディー男の頭にこんな事を語りかけた。




『今ならお前の欲しがっていたものもでも良いんだぞ??』



「え?突然声が...まさか!」



ダンディー男はランプを見る。こいつの趣味はコレクションだ。フィギュアをたくさん集めているようで監視していると部屋に無数のフィギュアが並んでいるのが見えた。このように誘惑を与えて本当に親の病を選べば、その時はその意志の強さを認めて願いを叶えてやろうという魂胆だ。さあどうする???病をとるか欲望を取るか...!!期待してダンディー男を我は見続けた。ダンディー男はかなり唸っている。渡すのは市販品ではなく限定品なのだ。そりゃあ欲しいわけだ。



「ゲホッゲホッ」



「母さん!!!」



「すまないねえ...?迷惑かけて」



「いや、いいんだ!俺こそ...俺こそ...ごめん!!決めたよ!!!キッパリと決めた!!」



その姿を見て我は安心した。これで病を選んでハッピーエンドというわけだ。試練を出すというちょっと意地悪もしたが、全てはこの男のためだ。これならばこれからも正しい判断をするだろう。お、お呼びだ!!さあ?sのダンディー男から「病を治してほしい」という声を聞くとしようかな。



「さあ、願いは決まったか??」



「はい!!」



「言ってみろ」



「大きなイチモツをください」


その瞬間、我はため息をついて「もうお前いいよ。一緒呼ぶな。地獄に落ちろ。くたばれ」と暴言を吐いて、ランプの中に入って言った。最後に見たのは、「何で起こっているのだろう?」と不思議そうな顔で、俺はもうこいつはダメだな、と思った。

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