踏み躙られる葦
あの日から、全部変わってしまった
「好きです、付き合ってください」
「俺で良ければ、喜んで」
俺、藤井崇は、同じサッカー部のマネージャーの内宮紗奈に告白され、付き合うことになった。中学に上がり幼馴染の1人以外別の中学に行ってしまい、各々部活やらで忙しいのか中学に入ってから集まっていない、そんな退屈を埋めるために入ったサッカー部。素人ではあるが人一倍努力した。そのおかげで、1年の最後にはベンチには入ることが出来た。
2年に上がると卒業した3年の分を埋めるためにスタメンに選ばれた。同じ2年生は喜んでくれた、特に紗奈は。
だが、ある時
「おい、崇、変な噂流れてるぞ」
「お前が3年脅して、レギュラー取ったって」
教えてくれるまで気づかなかったが、もちろん否定した、他の2年も否定してくれたことは嬉しかった。この時もっと行動しておけば良かったと思う。
夏、インターハイ前、自主練を遅くまでしていた。そろそろ終わろうかと思った時、急にスタンドを消され、誰かに腹を殴られた。朧気な意識の中、手足が縛られる感覚と2年の声が聞こえた。
「・・・・・つっ・・・・・・」
眩しい光の中、蘇る痛みとともに意識が覚醒した。ハッキリしていく視界に俺は頭を鈍器で殴られたような錯覚に陥った3年の東と紗奈が抱き合いながらこちらをニヤニヤと見ていた。俺の中で何かが壊れる音がした。
「え?、、、な?、、、」
理解が追いつかず言葉が出ない
「なんでか?ハッ!お前が汗水垂らして、お玉遊びしてる中彼女を放っていたから俺が面倒みてあげたんだよ!」
「先輩、優しいからね〜、ごめんね〜、タカくん私の初めて、先輩にあげちゃった」
追い討ちをくらい悔しいのか悲しいのか分からない涙が出てきた。そして、東は
「紗奈ちゃん、ソイツが君とキッパリ別れられるよう俺たちがどのくらい愛し合っているのか、見せてあげようよ」
やめろ
「先輩....」
頬を赤らめ、甘えた声で紗奈は返事をする。
そして、2人は脱ぎ始め繋がった。紗奈の喘ぎ声が聞こえる、肉がぶつかる音、2人は陰湿な笑みを浮かべて行為をする。
やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
やめろ!!!!
俺の中で壊れたものは爆発した...
縛られていた紐を力の入れ過ぎによって血の滲んだ手で切る
「ウオオオオオオアアアアアア」
意識が戻った時俺の手は血だらけになっていた、俺の横に横たる顔が赤いナニカ、それを怯えながら見てるナニカ
俺はその空間から走って去った、体育館横の使われていない倉庫だったようだ、途中の水道で手を洗いその度にあの光景を思い出し、吐いた
次の日、学校でこんな噂が広がった
「藤井崇は、彼女を強引に襲おうとし助けた先輩を大怪我させた」
2年から広まったらしい
それから俺は学校に行っていない、家族は信じてくれた、先生も信じてくれた。幼馴染のあいつも何とかして、やってくれたらしい。中学の卒業式なんてもちろん行っていない。だが、久しぶりに集まることになった。みんな同じ高校なのはわかっていたが、入学前に祝おうとなったらしい。
駅前に集合、久しぶりに家族以外の人と会う、少し緊張しながら向かう。
駅が見え始めた頃、幼馴染達と思わしき奴らが見えた、遠くから見てもわかるくらい華々しい。俺とは違う、俺はそうはなれない。俺を待ちながら楽しく話す幼馴染達を見て苦しくなった。
そして、1人と目が合った気がした、俺は踵を返して逃げた
これから書こうと思っているものの前日譚です