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プロロゴス 〜オドスと神




 序幕は本編に関わりません。シリーズ読みされない方は、次のページに進んで頂いても大丈夫です。







 西の島某所にて。




猿田「それでは道の神の懇談会を始めます。」


ヘカテー「相変わらず堅苦しいわね。」


猿田「あなた達が軽すぎるんですよ。」


ヘルメス「だってバカンスですよ。アバンチュールを楽しまなくては。」


猿田「……何でもいいですけどバグを増やさないでくださいよ。」


ヘカテー「私たちが増やしてるのは子孫よ。」




猿田「問題だな〜」


ヘルメス「好きにしていいという約束でここに遊びに来てますからね。もちろん関わる時は、人として立ち回っていますよ。」


ヘカテー「道行く女を孕ませまくるのが、人らしい振る舞いかしら。」


ヘルメス「そっちだって女狐よろしく王宮に入り込んでいるじゃありませんか。」


ヘカテー「特定の男をキープして定住してるだけよ。倫理的でしょ。」


猿田「……倫理の概念が東と西で大違いですね。」


ヘルメス「仕方がありません、輪廻に対する考え方が違いますからね。」


ヘカテー「最近の異世界人は、西も東もお硬いと思うわ。」




猿田「……そういえば古代の日本にも歌垣とかあったっけ。……あ、そろそろ本題に。古代ギリシャって、家系図の時系列がおかしな事になってますよね。時空を超える魔法とか使ってました?」


ヘカテー「そんなの、おかしな事じゃないわ。」


ヘルメス「長生きしていつまでも子供を作っているだけですね。」


猿田「あ、なるほど……。転生転移時に時間を超えることはよくありますが、実は最近この世界内での時間のズレを観測したんですよ。ちょっと調べてみようかと思ったんですけどね。だから今度は、西にも会社を置いて、ついでにバグの処理もして欲しいんですが。」


ヘカテー「……面倒くさい。」


ヘルメス「こちらは住人たち自身に処理してもらってますから大丈夫です。」




猿田「……ちなみにどのような方法で?」


ヘカテー「ヤればヤるほどバグが集まる因子を持った人間がいてね。こっちはみんなお盛んだから、すぐに集まるの。」


ヘルメス「定期的に我々がパトロールして、頃合いに適任者を派遣し、それを回収してもらっていますよ。ソテルを、救世主を産める女の子に頑張ってもらってね。」


猿田「――――それは……。強制してですか?」


ヘルメス「アプロディテとエロスの魚座コンビは来てないから、無理やり恋させる事はできないよ。そのために僕らが子作り頑張ってるんだし。」


猿田「子作り。……つまり強制ではないが、子孫を使って人員配置には手を加えていると?」


ヘカテー「運命の出会いって素敵でしょ? ソテルに生まれれば魔法が使えるし幸せよ。宿すだけでもご利益あるし。ちなみに私もソテイラって呼ばれてるわ。」




猿田「救世主ですか。……まあ救世主も色々ですよね。でもそうか……。バグ取りお掃除ロボとしてはらから取り出すんじゃなくて、赤子として産んじゃうのか。そのためには親がバグを集める因子持ちである必要か……。あれ? それ人為的に作ったことあるな。バグ塊が母体にあれば……」


ヘルメス「人為的にソテルを創るのはお薦めしませんね。ソテルの芯には愛の物語が必要ですよ。」


ヘカテー「これだからマッドサイエンティストは嫌ね。無粋だわ。」


猿田「いえいえ、可能性を考察しているだけですよ。バグだって無理に駆除せず、あるがままになる日も近いでしょうし。逆に手を出さないで済む可能性について考えてるんです。とはいえ、因子の代わりにバグ塊(おにぎり)を落とすと、絶対怒られるしな……」 


ヘカテー「あなたがそんなに頑張らなくても何とでもなるのに。東にも地球の子、多いんだし。」




猿田「まあ、性分ですね。それに自分は出向(しごと)で来てるので。あ、魔力の海底ケーブルは繋いでもいいですか?」


ヘルメス「その代わり日本のネットに繋がせてよ。」


猿田「検索だけで、書き込みしないでくれるなら。」


ヘカテー「ネットがあれば伝令はいらないじゃない。……でも子供たちの様子は、やっぱり直接みたいわよね。」


ヘルメス「我々には時間はありますからね。」


猿田「ではバグの処理を!」


ヘカテー「……それは英雄たちに任せるわ。」


ヘルメス「そういう事! ……ねえ、猿田君。テルマエあるから入っていけば?」


猿田「あ、良いですね。時代の先取りですか? ちょっとお邪魔しようかな。最近使える社員が増えて、楽になってきたんですよ。」


ヘカテー「人間なの? もうどんどん任せちゃいなさいよ。」


ヘルメス「できた暇で君も因子を蒔いたら?」


猿田「うちは一夫一婦制なので遠慮します。まあ、出向が終わる日も近いかもしれませんけどね。ああ、社員が今ゲートを作ってくれてるので、次回の懇談会も僕がこっちに来ますよ。」


ヘカテー「あなたも新しいモノ好きね。」


ヘルメス「瞬時に移動できたら旅の醍醐味がありませんね。」


猿田「一度は行かないと扉は開けないし、社外秘ですから、旅人の守護神の領分は侵しませんよ。……じゃあ、お湯だけ頂いて、僕はそのまま失礼します。」


ヘカテー「じゃあね〜」


ヘルメス「また今度。」







+ + + + + + + +



オドス……道







猿田さんの勤務地については『生贄の騎士と奪胎の巫女』をご覧ください。




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