6話 この世界で初めて優しくされた
話数を編集したので、しおりをつけていた読者はもしかしたら最新話が1話分ズレているかもしれません
「こ、このステータスは……」
少女は紙を持った手をプルプルと震わせて固まっている。
「もしかして……あなたのものですか?」
「ま、まぁ一応……」
「このステータスでサイクロプスを相手にしたのですか……すごいですね」
「耐えることしか出来ませんでしたけどね」
「耐えるだけで十分すごいのですが……」
そう言ったあとに彼女はクスクスと笑った。
「驚いてばかりでまだ名前を言っていませんでしたね。私の名前はニナと言います」
「ご丁寧にどうも。俺の名前はレイジです」
「ところでレイジは馬車に乗っていたのかな」
振り返ると、転倒した馬車があった。
それを見てニナは答えたのだろう。
「そうですね。馬車に乗っていたところをサイクロプスに襲われ、逃げようとしたところを転倒してしまいました」
俺の嘔吐物のことは言わなかった。
「災難でしたね。どこに向かう予定でした?」
「えーっと、ヒヤル村です」
「あまり遠くは無いですね。徒歩で1時間ぐらいでしょうか」
「それぐらいですね、なので──」
「分かりました。それなら私がレイジさんをヒヤル村まで護衛して差し上げます」
なので大丈夫です、と言おうとしたがニナに言葉を遮られてしまった。
でも、ニナが護衛をしてくれるとなると非常に有難い。
「……いいんですか?」
「ええ。サイクロプスとの戦いで疲労しているでしょうし、ここは私に任せてください」
「ありがとうございます! とても助かります!」
「ふふっ、大袈裟ですね」
◇
ヒヤル村に到着した。
1時間美少女と会話をしながら歩けるなんて、とんでもないご褒美だった。
「レイジさん、また会いましょう」
「また会う機会があればいいですけどね」
「きっとまたどこかで会うような気がします。私の勘って当たるんです」
「それじゃあ期待しておくね」
「はい。では失礼します」
ニナは俺をヒヤル村まで届けると、去って行った。
めちゃくちゃ良い子だったな。
この世界に来て初めて優しくされたかもしれない。
……さて、ヒヤル村についたことだし向かうとするか。
隠しスキル《能力奪取》を取得するための場所にな。
俺は村の中に入るのではなく、近くの森に足を踏み入れた。
こんな田舎の森に来るやつなんてあまり居ない。
そんなの見つからないわけだ。
このスキルを発見した奴も中々謎が多い奴で何故見つけることが出来たのか、何も語ってくれなかったな。
まぁ今となってはどうでもいい話か。
「よし、ここだ」
森の中で開けた場所に出た。
その中央には周りの木よりも大きな木が生えている。
だからどうした、という話なのだが、実はここ墓場なのだ。
「この世界でもちゃんと居てくれよな……」
そう祈りながら俺は木の根元を手で地道に掘り起こしていく。
2時間掘り続けていくと、黒い棺桶が出て来た。
それに触れると、声が脳内に響いてきた。
『我の眠りを呼び覚ます者は誰だ?』
そして現れる透明な男性の霊体。
彼は隠しスキル《能力奪取》の産みの親にして、強奪の神の転生者──アリババだ。
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