11話 俺は奇妙な縁を感じていた
さてと《真空斬》も取得して、ウルフの素材もぼちぼち集まったな。
ウルフから、ウルフの爪、ウルフの毛皮、ウルフの肉、ウルフの牙、これらを一応6体分剥ぎ取っておいた。
戦闘には苦労しないが、こういうDSOに無いものは大変だ。
よく分からないまま、この部分って買い取ってもらえるかなーと思いながら解体した。
レヴィのダンジョンからアルトバーレへの帰り道は地形に凹凸のある平原と小さな森を通る。
その森の中を歩いているとき、悲鳴が聞こえてきた。
「誰か助けてっ!!!」
そう遠くない場所からの悲鳴だ。
少女のような声だった。
気になった俺はとりあえず悲鳴のする方へ、向かってみることにした。
現場に到着すると驚いた。
まさかまたサイクロプスをお目に掛かることになるとは。
サイクロプスの近くには、少女の悲鳴を聞いて駆けつけたと思われる冒険者達が倒れていた。
そして肝心の少女はサイクロプスに追い詰められており、まさに絶対絶命の状況だった。
「ありゃ、とんでもねーな……」
「あんなのと戦うなんて自殺行為だろ……」
背後から声が聞こえてきた。
振り返ると、彼らはレヴィのダンジョンで俺を笑っていた冒険者の二人組だ。
「お、君はウルフと互角の冒険者君じゃん」
「なになに? もしかして正義の炎でも灯しちゃった?」
馬鹿にするような口調で話しかけてくる。
この世界の冒険者ってめちゃくちゃ無礼じゃないか?
……あ、俺の見た目が弱そうだから見下されているのか。
そう考えれば対等に接してくれたニナってやっぱりめちゃくちゃ良い奴だな。
「まぁ、そんなところだな。お前らは?」
「野次馬に決まってんだろォ? バカか?」
「俺たちは冒険者であって、正義の味方ではないからなぁ。ああやって死んでいく奴らは一体何を考えてるのかねー」
「なるほど、冒険者らしいな」
「ありがとよ。……それでお前もよぉ、あの冒険者達みたいに正義の味方になってこいよ」
「ま、ウルフ相手に苦戦するようじゃ、あんな化物相手に2秒も持たないんじゃないか?」
「「キャハハハハハ!」」
二人はお互いの顔を見合わせて笑った。
別に俺はこういう奴ら嫌いじゃない。
こいつらは自分が正しいと本気で思っているからだ。
物事が全て自分の予想通りになると思って、調子に乗っている。
そして俺はその予想をぶち壊すのが好きだ。
「つまりあの子を助けたら正義の味方を名乗っていいわけだな」
「……お前何言ってんだ?」
「そこで見てろよ。これが正義の味方だぜ」
俺はサイクロプスに向かって駆け出した。
サイクロプスは既にもう少女に向かって棍棒を振り上げていた。
「だ、だれかぁ……っ!」
青ざめた顔で少女は懸命に助けを呼んでいた。
ごめんな、無駄な会話に時間をかけすぎた。
でも……良いタイミングだ。
これならクリティカルが狙える。
「──真空斬ッ!」
サイクロプスの背中に《真空斬》を叩き込んだ。
ドスンッと、サイクロプスは右足を踏み込んで耐えていた。
背後を振り返り、サイクロプスは単眼でギョロリ、と俺を捉えた。
どうやらターゲットが俺に変わったようだ。
「逃げろ! このサイクロプスは俺が相手する!」
「あ、ありがとうございます……!」
少女は涙を流しながらアルトバーレに向かって走って逃げ出していった。
さてと、こんな短期間で二度もサイクロプスを相手することになるとはな。
奇妙な縁がありそうだ。
「だが、俺にとっちゃ好都合だ……サイクロプス、お前のスキルを奪ってやるよ」
「グオオオオオオオオオオオ!」
前回は耐えて終了だったからな。
今回は──奪わせてもらおう。
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