第四話. 小説 書けなくなった
恋愛要素がなく4話まできてしまいました。もう少しご辛抱お願いします。
朝ごはんをとったあと、わたしはまた自室に籠もった。
床につけっぱなしのゲームが転がっていたけど、やる気にもなれず、睡眠をとるためにベッドに入った。頭の中では、小説が一文字も書き始められなかった虚無感が渦巻いて、どうしたらまた書けるようになるのかそればかりがめぐっていた。
『小説 書けなくなった』
で検索してみると、質問サイトのページがヒットした。
『Q. 質問者:名無し
僕は子どものころ、趣味で小説を書いて遊んでいました。最近、また書きたいと思うようになったのですが、子どもの頃みたいに想像力がなくなってしまったみたいで思うように筆がすすみません。解決法はありませんか』
『A. 回答者:名無しの本好き
書きたいものがあるから小説を書くのでは? かけないんだったら書かなくてもいいのではないでしょうか』
『A. 回答者:匿名希望
おっさんが夢見てんじゃねーよ』
「……解決にならない回答ばっかだな。おっさんじゃないし」
『A. 回答者:文学少年
本を読んでみるのはどうでしょうか。人の小説を読むとそこから思いつくこともありますよ。あとは、親しいご友人と話したり、恋愛をされてみたりすると、何か思いつくかもしれません』
ごろんと寝返りをうった。"文学少年”さんが言っている様に、本を読めば何か思いつくような気がする。友達もいないし、恋愛なんてましてやできるわけないけど、本だったら、一人で読める。
わたしは、時計がまだ午前を指しているのを確認すると、ジーパンに足を突っ込んで、適当にTシャツを着て、つばのある帽子を目深にかぶった。マスクももちろん忘れない。
本を読むことなど、もう1年はしていない。毎週欠かさず通っていた古本屋のこともすっかり忘れていた。
小説を読むことが好きだったことを思い出して、ページをめくるドキドキが鮮明に蘇ってきた。
このドキドキを作りたいと思って、物語を書いていたんだ。
昼間にみた自転車は錆びて格好の悪いものだったが、構わず漕ぎ出す。家から一番近いあの古本屋へ。
いつも憂鬱だった昼の光が、輝いて見えた。
古本屋につくと、ガラスの引き戸を開けた。本の匂いが入ってきて、懐かしい感じがする。雑然とした本に埋もれて、久しぶりにワクワクした。
店の奥では、店主がチラッとこっちをみて「らっしゃい」と小さな声でいう。
わたしは、積まれた本の隙間で、本と出会うのだ。
タイトルに惹かれた本を3冊手に取ってお会計を済ませたわたしは、はやる足取りで帰路についた。
夜勤あけで寝ていないはずなのに、ページをめくる手は止まらなかった。
本の前ではゲームもただのプラスチックの塊になった。わたしは夢中で本を読み進めた。
そして、3冊を4日で読み終えたが、わたしの読書欲は留まることを知らなかった。まるで、一気に窓が開いたようにわたしの心に風が吹き込んでくるような、そんな感じがしていた。
そしてわたしは、また,週に1度、古本屋に通うようになっていた。