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第十三話. 自己嫌悪

 ピリリリリリリ


 家についてしばらくぼんやりしていると、携帯に着信が入った。表示されたのは『吉良駿』の文字。あんなにかかってきて欲しかった電話なのに、出るのをためらう。3回の着信を無視して、4回目で電話に出た。


『……何で出てくれないの』


 低い声で吉良くんは言った。


「ごめんなさい……」


吉良くんが怒っているのが分かって、わたしはものすごく怖くなった。一回で出ればよかった。わたしと喋ってくれる人は吉良くんだけなのに、失ったらどうしよう。胸の奥がスッと冷えて、その後、わたしは声が出なかった。代わりに目が熱くなって、どうしようもなくなった。


「あ……ごめん、なさい、あとでまたかけ……」


『待ってよ』


 涙が押し寄せてきて、話せないから切ろうとしたのに、吉良くんは、切ってくれない。しばらく沈黙が続いて、わたしは必死で声を押し殺した。


『え、泣いてる? あ、まじか、ごめん、いやそんな、ええ』


 吉良くんが、電話の向こうで困ったような声を出して、慌てている。


「泣いてないよ、吉良くんには関係ないから……」


 知り合ってまもないわたしの涙は、吉良くんには重すぎるものだ。困って呆れてしまうに違いない。

 わたしは無理やり電話を切った。

 やっとできた『知り合い』を、わたしは蔑ろにしてしまった。彼が忙しいことは十分分かっていたのに、わたしは『次』ばかりに期待して、自分は何もしようとしなかった。わたしはこの三週間、電話の前で座っていただけだった。スーパーで会ったのに無視してしまうし、本当、何様って感じだ。


 しばらくぼんやりしていると、


 -ピロン


 握り締めたままだった携帯に、ショートメールが届いた。


『ごめん,俺感じ悪かったよな。 明日、古本屋、10時に待ってる』


 「うそ……」


 さっきまで沈んでいた心が浮き上がった。わたしはなんて単純な生き物なのだろう。明日、ちゃんと謝らないといけない。きっと、挽回できる最後のチャンスだろうから。


主人公がこんなにメンヘラになるなんて、作者も想像していませんでした。中学校時代が思い出されてきましたね。。。なぜ孤独になると思い詰めてしまうんでしょうか。

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