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愉快な姿

「なあ、ジョーカーよ」


「なんですかボス?」


「暇だな」


 旅を始めて5日、とりあえずエルフたち妖精族の居る大陸へ行こうと一番近い港町のポートリアまで行こうとしているが、とにかく何もない。

 俺とジョーカーは馬車の屋根の上に置いてある荷物の上で寝っ転がって雲を眺めていた。


「ククク、旅なんてこんなものですよ。嫌ならダンジョン経由で行けばいいじゃないですか」


「飛ばして面白いもの見逃したら嫌だからなぁ。でも、さすがに5日間も何も無いとは思わなかったけど……」


 小さな村くらいならあるかなぁと思ったけど、どの村も街道から外れて数日の距離だし、そこまでしていくような所じゃないからひたすら街道を走り続けている。


「モンスターか盗賊でも襲ってきたら少しは気晴らしになるんだがなー」


「あ、フラグ」


「オラオラぁ!身ぐるみ全ておいていきな!」


 ジョーカーが言い終わる前に男の怒声が響いた。


「やったぁ!ってたったの五人かよ!」


 その五人もガリガリに痩せ細っていて、武器はクワ等の農具でお世辞にも強そうには見えない。

 こいつら本当に盗賊か?まだ迷子の農民と言われたほうが納得できる。


「ジョーカー、殺さず捕縛しろ。なんであんな愉快な姿なのか気になる」


「愉快?それはいけませんね。人を笑わせるのは道化の役目。私以外のボスの道化は必要ありません」


 何か決め台詞みたいなのを言いながら馬車から飛び降りて一瞬で片付けた。

 全員ジョーカーのアッパーによって一発KO。

 簡単に素巻きが出来上がった。


「さて、どうしてそんなに貧弱装備で襲ってきたんだ?」


 リーダーの男によると、五人はやはりただの農民で隣国との戦争から避難しているうちに食料も金も尽き、仕方なく盗賊行為を始めたらしい。

 もっとも、初めての相手が俺たちだったので一度も成功はしてないそうだ。


「てかここって戦争してるんだ」


「相手は神聖国ですね」


「あー、あの。俺のダンジョンがあるから大人しくなると思ってたが、よくまだ戦争なんかできるな」


 神聖国がデカイ顔できるのは国が山脈に囲まれていて、自国だけが召喚できる勇者の転移魔法でしか出入りできないからであって、そのアドバンテージが俺がダンジョンをそこら中に繋げまくったせいで無くなり、継は狩られる側になってるはずなんだけどなあ。


「元々強国ですし、属国もありますからそう簡単にはやられませんよ。あの国に反撃するには戦力を集めなければいけませんし」


 思ってた以上に厄介な国だ。

 すぐ滅びると高をくくってたが、長引くとうちのダンジョンに勇者を送ってきかねない。

 早々に対策しないと。

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