若返ったマスターソード
「ふあぁ、よく寝た。ん?俺様は寝てたのか?」
「違うな。スライムに食われて今進化したから生まれ変わったって言うべきだ。若い頃の自分を強く意識してくれないか?」
「うおぉ!なんだ?俺様の体が……」
俺が鏡を渡すと、彼はペタペタと自分の顔を触った。
「若返ってやがる!」
そこに立ってたのは若き日のマスターソード。見たところ二十代かな。金髪で鋭い目、引き締まった筋肉を見ると、ジジイのときより強くなってるのは間違いないだろう。
「自分を思い切り殴ってみてくれ」
「……ぐっ、あれ?痛くねえ。すげえなこれ!」
しかも物理無効。最強兵器の完成だな。
「気に入ってくれて何よりだ。それじゃあ皆に紹介するからついてきてくれ」
「おう!」
数日前に来て経緯を知っていたから、マスターソードはすんなりと皆に受け入れられた。
「元剣聖のマスターソードだ。よろしくな!」
「「「よろしくー!」」」
「元⁉引退されたのですか?」
「足が無くなってたからなぁ。一番弟子に譲った。引退してすぐに来たから、どいつも俺様がまだ剣聖をしてると思ってるだろーがな」
一番弟子?こいつより強いのかな?
俺の疑問はソランが聞いてくれた。
「足が無くなる前までは互角だったが、この体なら俺様の圧勝よ!」
それでもあのレベルより上の人間がまだ居るのかよ。異世界怖い。
「何だこりゃ⁉どの飯も美味え!」
マスターソードはうちの食堂が気に入ったらしく、鍛錬以外の時はほとんどここで過ごしているのを見かけるようになった。
尚、この後人間側のトップレベル戦力を引き抜いたことをジェノルムに叱られた。
キャラ被りを防いだのだから感謝して欲しいな。