謝罪
昨日ミスして上げてなかったので、今日は2話です。
「はい…………ところでマスター、ソフィアたちですが、まだ謝りに来てませんよね?」
ソフィアたちは案内した部屋から一歩も出てこない。こちらから移動は制限していないが、自粛している。
食事はヴァイオレット、ソラン、老師が持っていってるから不便はしてないようだけど。
「そりゃ気まずいからな。けどこのままってわけにもいかない……仕方ない、こちらから出向くか」
これから共に戦う仲間になるのだから嫌な事は今のうちに解決しておきたいし、俺も秘密主義がすぎた。
部屋を出て三人の部屋に行ってドアをノックする。
「どうぞ…………ユースケ様⁉」
「うーす。いつまでもしょぼくれてんじゃねえよ。これ食うか?」
持ってきたのはケーキ、食の水準の低いこの世界でデザートを食える機会は父のパーティーの時くらいだ。そこでも果物を切り分けた程度だったし。そんな世界の住民にこのケーキは悪魔的な誘惑だろう。
一回ヴァイオレットと口喧嘩になったときも、ケーキをあげるとすぐに機嫌を直してくれたから良いチョイスなはずだ。
「これは?」
「ケーキって言う俺の故郷のデザートだ。甘くて美味いぞ」
ソフィアにはショートケーキ、フィーにはチーズケーキ、ピクリナにはチョコレートケーキを皿に乗せて渡す。
俺はモンブラン。
「…………甘い」
「美味しいよぉ……」
「そうだろ。実は今日は三人に謝りに来たんだ。俺はお前たちが家族を人質に取られているのに気づいていながら敵を騙すために黙ってお前たちを利用した。本当に済まなかった」
俺が頭を下げると三人は慌てだした。
「そんなっ、元はと言えば裏切ったのは私達です」
「謝るのはフィーたちの方」
「ごめんなさい」
三人が土下座をして謝ってきた。今回は裏切られたけど根本的には優しくていい子たちなんだ。
そんな純粋な彼女たちを捨て駒のように利用したジョーカーに怒りも湧いてくるが、これも戦術と言えば戦術。そういった面ではジョーカーもなかなかできるやつだ。
うちの陣営でそういった狡いことを思いつけるのは、老師やヴァイオレットくらいなのでぜひ彼も俺の配下になってもらいたいところだ。
「だったらお互い様ってことで水に流そう。それじゃ俺は仕事に戻るよ。まだいくつかケーキが入ってるから分けて食べてくれ」