電気が通ってる
「なっ!」
「それは……」
「257位って言やぁ大規模同盟じゃねえか!ユースケのアニキ!オレは一緒に戦うぞ!」
筋骨隆々なチースはそう言ってくれた。だが、見た目30過ぎのオッサンにアニキ呼ばわりされたくない。
「まあ待て。今回は俺とヴァイオレットで対処する。皆は見学しててくれ」
「どうしてでしょうか?」
「理由は下手に新入りを入れて連携を崩したくない。皆は俺の同盟に入る。つまり部下になるわけだ」
「はい」
「だったら俺が仕えるに値する相手か見極める必要があるだろう」
「おぉ!」
皆が歓声を上げる。
チャラチャラしてそうなアキトまで感激した目で俺を見てきた。
同盟に入ってから何か違うって思われたら嫌だからな。職場見学だ。
「それじゃあダンジョンを紹介するからこれを見てくれ」
新しく作った司令室では数多くのモニターがある。
工学系の知識を習得させたヒューマンスライムたちによってうちのダンジョンには電気が通ってる。
なぜ電気が通ってるかというと、先輩が調整したのか電化製品は魔力でも動く、がそれだと敵に探知されやすい。
魔力を通す配線を辿られてコアちゃんに迫られるとか間抜けすぎるからな。
モニターにダンジョンの様子を見せるとマスターたちは驚きの声を上げた。
「これだけの魔道具を用意しておいて魔力が一切感じられない⁉」
「これは……面白いものを持っておられますのう」
そんなマスターたちが興味をひかれたのは店とモンスター街だった。
「あんな入り口に近い所からコアルームに行けるだなんて完全に盲点だ。しかし、いささか不用心すぎませんか?」
「バトルの時は壁に擬態できるスライムで隠している」
「なるほど。ならば問題ありませんね」
バレたとしても、すぐに逃げられるように後ろにテレポートゲート置いてるしな。




