俺の強さ
うーん、いざ刺すとなると緊張する。
できるだけ痛いのは嫌だからちょこっと刺したいのだが、怖くて手が震える。
グサッ…………刺しすぎたー!指先の赤い玉がみるみる大きくなって、すぐにダラーッと一筋の赤い線になった。
チクってするつもりだったのに……。
「これでいいですか?」
血がべっとりついた冒険者カードをお姉さんに渡す。
表情が引きつりながらも笑顔でカードを受け取るお姉さんは流石プロだ。
「は、はい。お受け取りします……57レベル?以前は傭兵とかやってましたか?」
「いや、自宅警備を少々。でも週一くらいの間隔で不法侵入者が襲ってきてたので返り討ちにしてましたね」
嘘は言ってない。でも57レベか。初心者狩りや盗賊倒しまくってたしなあ。
あいつらも弱いわけじゃなかったから妥当なレベルか。
あ、あとはタッタリーでの虎の分だな。
「57はランクだとどの辺りですか?」
「大体BかAですね。この辺りから年のせいもあってレベルもランクも伸び悩む人が多いのですが……ユースケさんはお若いので中々有望株です。期待してますよ」
BかAってことはアダマンタイト装備無しだとSには敵わないってことか。
いや、武術ができない分同じ装備条件ならBランクにも勝てないだろうな。
まあそうは言っても事実、俺はアダマンタイト装備を持ってるからSランクやSSランクになったとしても問題ないだろう。
「ほう。57レベルだったのか。引きこもりのくせに凄えじゃねえか」
お姉さんの横から顔を突き出したジェノルムがそう言うと、驚いたお姉さんが飛び上がった。
「ギルマス⁉この人とお知り合いですか?」
「友人だ。スライムダンジョンの件でいろいろ世話になっててな。おいユースケ。そのレベルなら俺の権限でBランクから始められるがどうする?」
「…………やめとく。特別扱いされて相手の実力も測れないようなバカに絡まれるのは嫌だから」