そうだ、冒険者になろう
頭のおかしな王女が父親の武闘派王に連行されて早一週間。王様は約束通り王女の管理を徹底してるようで、このダンジョンには今のところ来ていない。
それは素晴らしい事なのだが。
「やること無ぇー」
暇を持て余していた。
ガチャはすぐ終わるし、モンスターの訓練はヒューマンスライムたちがしてくれるし、店もヒューマンスライム任せ。
駆除しまくった甲斐あって最近盗賊も少ないし、俺がしたことと言えば新しく作ったダンジョン入り口横に店を作ったくらいだ。
ヒューマンスライムにすべて任せてしまったので俺は今放置ゲームをしてる状態。
つまり待つだけだ。
ゲームとかしたり、ラノベ読んだりアニメ見たりしてるが、ずっと籠もりきりだと日の光が恋しくなるし少しは体を動かしたい。
俺が延々とゴロゴロしてても読者はつまらないだろう。
「そうだ、冒険者になろう」
「なぜその結論に至るのですか……」
□■□
「てことで冒険者としての身分をくださいな」
「子供が菓子をねだるような言い方するな。まったく、いっつも急に来やがって……」
いつものように菓子折りを持って行き、ジェノルムの部屋に来た俺は冒険者になる為に持ってるコネを惜しみなく使用していた。
「だって俺暇だからさー。他のダンジョンを偵察するついでにモンスターの訓練しようと思って」
引きこもり生活もいいが、せっかく異世界に居るんだから、異世界ならではの体験をしなきゃ損だろ。
アダマンタイト装備で俺TUEEEEEしたいんだ!
「別に俺に頼まなくても、受付に行けばすぐ登録できるぞ」
そうだったのか。てっきり身分証明書が必要なのかと思ってた。
異世界人の俺はこの世界の身分証明書なんて持ってないから焦ってた。
縁先輩に頼めば簡単に偽造してくれるだろうけど、あいにく先輩を自由に呼び出すことはできない。
俺は今すぐに冒険者になりたいのだから。