正月SS
明けましておめでこうございます。
このSS本編とは全く関係ありません。
この世界は都合がいいことに、暦は地球と同じで十二月まであり一月の日数も同じだ。
しかも年明けのタイミングも揃ってる。
「そりゃ僕が世界を吟味した上、異世界転移させるタイミングを合わせてるからね」
「思考を読まないでくださいよ先輩」
俺は新年の挨拶に来てくれた縁先輩と一緒に1月1日のお笑い番組を見ていた。
「ははっ。だって君何も話さないじゃないか。癖でついね。ごめんよ」
「エニシは読心魔法使えるのね。今度教えて欲しいわ」
「ごめんねー、僕のは種族特有の魔法だからヴァイオレットさんには扱えないよ。その代わりこれをあげよう」
先輩はワイヤレスイヤホンを取り出してヴァイオレットに渡した。
「これは?」
「それを付けてると見てる相手の心の声が聞こえてくるんだ。僕からのお年玉だよ」
「お年玉?……とにかくありがとう!」
は?ヴァイオレットに読心アイテムなんて渡すなよ。ろくなことに使わんぞ。絶対俺の心を読んでからかってくる。
にしてもなんか先輩っていい意味でおじいちゃんみたいだな。精神が俺の一歳上とは思えない。
「そんなこと言うなら雄亮君にはお年玉あげないよ」
「いやー先輩っていい感じですよね!」
「……まあいいか。はいどうぞ」
先輩がくれたのはなんの変哲もなさそうな指輪。
だがきっとこれにはとてつもない魔法が付与されてるはず。
「読心無効を付与しているよ」
「先輩!一生ついていきます!」
俺は指輪をはめながら先輩に言った。
「ははは。よきにはからえ」
「ずるいわよエニシ!せっかくいたずらに使えると思ってたのに」
やっぱりかよ。
しかし先輩も先にヴァイオレットに渡すとは意地が悪い。
「ドキドキしたでしょう?」
「えっ?俺指輪付けてるのに」
「あ、これは技術の読心術ね」
なにそれ普通にすごい。
「魔法が使えないのなら技術を使えばいいんだよ」
「マリー・アントワネットみたいなこと言わないでくださいよ」
「くっ、傲慢な考えね。そのうち足元をすくわれるわよ」
ヴァイオレットもこの人にまともに反応するなって。
「だって僕強いもん」
その後の縁先輩はヴァイオレットを煽るだけ煽って帰った。
ヴァイオレットがぷんすか怒るのは初めて見た。
縁先輩が来るとめちゃくちゃになることが多いけど、こういうのもたまにはいいか。
「なんでユースケは笑ってるの!」




