クリスマスSS
※このストーリーは今の本編の未来の話で、数十話先に出てくるキャラが出てくるのでネタバレが嫌いな方は読まないで下さい。
できるだけユースケ、コアちゃん、ヴァイオレットだけで進行してますが、読んだとしても恐らく意味分からないことを、先に言っておきます。
このSSは白街のクリスマスネタ書きたいという欲望の結果です。
読むのならばこれをご了承の上で読んでください。
「ジングルベールジングルベール鈴が〜」
「何してるのユースケ?」
テレビを見てると、もとの世界ではクリスマスらしいので、俺も雰囲気だけでも楽しもうとクリスマスツリー用意をしていると、ヴァイオレットが興味深そうに聞いてきた。
「マスターの故郷の文化でクリスマスと言うイベントで使う木のデコレーションをしていました」
一緒にツリーに飾りを付けていたコアちゃんがそう返事をした。
そっか。俺ってもうクリぼっちじゃないんだな。
二人を見て俺はそう思った。
「へえ、面白そうじゃない。でも、具体的には何をするの?」
「ケーキを食べたり、友達で騒いだり、色々さ。後はサンタさんかな」
「サンタさん?」
「良い子にプレゼントを寝てる間に渡してくる老紳士さ」
「老師みたいな?」
「そうかな……いや違うな」
確かに似てるけど、サンタさんはあそこまで戦闘力は高くないだろう。
「でも残念ね」
「どうして?」
「だってサンタさんは良い子にプレゼントを渡すんでしょう?私たちはダンジョンマスターだから無理よ」
寂しそうにヴァイオレットは呟いた。
どうしよう。もうサンタさんは居ないよとか言えなくなった。
「大丈夫。ヴァイオレットは良い子だからきっとサンタさんが来るよ」
「本当?」
俺が励ますとヴァイオレットは、キラキラと純粋な目で俺を見てきた。
「もちろんさ」
もう後には引けなくなったな。
□■□
「それで見た目が似ておるわしに白羽の矢が立ったというわけですな」
「協力ありがとうございます。老師」
俺が食堂でクリスマスのことを話すと、ヴァイオレットがサンタさんの話を始めて他のマスターたちも子供のようにはしゃぎ始めたので、唯一察してくれた老師に協力を頼むことにした。
俺とコアちゃん、老師はサンタさんの服に着替えて、それぞれ担当してる奴のプレゼントをアイテムボックスに入れてある。
「しかし、ユースケ様の言っていたサンタさんがサタンクロースだとは思いませんでしたぞい」
「サタンクロース?」
老師によると、サタンクロースと言うのはこの世界のモンスターで見た目はサンタさんと全く同じだが、Aランクモンスターとして登録されている恐るべきモンスターなのだの言う。
冬の夜、血まみれのナタを持って旅人を襲い、切り刻んだ旅人の血肉を白い袋に入れて巣に持ち帰るらしい。
「怖っ」
てか名前つけたの絶対勇者だろ。
「ただ、もう数百年前に絶滅しましたがな」
良かった。そんなホラーなサンタさんなんて見たくねえよ。
「よし、俺たちの任務は気づかれないようにプレゼントを枕元に置くことだ。あいつらが寝る前に俺がしっかりと眠れと命令したから今日は起きることはない安心して置いてきてくれ」
「御意」
「イエスマスター」
二人がそれぞれの担当のマスターたちの部屋へ行くのを見届けて俺も自分の担当の奴の部屋にプレゼントを置きに行った。
□■□
「ユースケ!見て見てー。サンタさんがプレゼントをくれたの!」
翌日、ヴァイオレットは俺にプレゼントを見せに来た。
「おう。赤兎馬じゃねえか。良かったな」
鑑定で欲しいもの見たときは驚いたぞ。
ヴァイオレットが呂布好きなのは知ってたけどここまでとはな。
「そう!赤兎馬よ!サンタさんに感謝しなくちゃ」
ヴァイオレットの代わりに俺はなぜか赤兎馬をショップに置いていた縁先輩に心の中で感謝した。
その後次々とマスターたちが俺にプレゼント見せて自慢してきた。
どいつもこいつも満面の笑みを浮かべているので俺もつられて笑顔になる。
先輩は俺に仲間たちの笑顔というプレゼントを送ってくれたのかもしれないな。
なんちゃって。