穏便に
「先輩どういうことっすか?パーティーとか聞いてないんですけど……」
「ごめんごめん。言い忘れてたよ」
ダンジョンバトルが終わり、ダンジョン運営も平常運転になったところで勝負の結果を確認しにきた縁先輩に、ダンジョンマスターのパーティーについて聞いた。
何も言ってくれなかったことを愚痴ると、ヘラヘラと笑いながら縁先輩は謝ってきた。
「とりあえず何はともあれ初ダンジョンバトル勝利おめでとう」
「どうも。それで俺はダンジョンマスター内ではどんな扱いなんですか?他のコアは縁先輩が作った訳じゃないんですよね?」
コアちゃんの製作者は縁先輩だけど、他のコアはこの世界の誰かが作ってるらしい。
だとしたら俺達は完全にアウェーだということになる。
「そこは大丈夫。さっき、この世界のダンジョンコアの父には穏便に話を付けてあるから」
「穏便に?」
「うん。穏便に」
先輩の服と拳には血の跡がついていたが、触れないほうがいいのかもしれない。
「ま、そういうわけだから気にせずパーティーを楽しんでくると良いよ。それとこれは僕からの勝利祝だ」
先輩がくれたのは、いつかのコアちゃんアップデート用のUSBメモリ、次はどんな機能が追加されるんだ?
「また変な機能がつくんじゃないでしょうね?」
「変な機能?鑑定は役に立ってるだろう?」
先輩は本当に何を指して言ってるのかわからないのか、キョトンとして質問返ししてきた。
「そっちじゃなくてコアちゃんの変身機能ですよ。なんで先輩の妹の姿なんですか」
「天使の姿が見れて心が安らぐだろう。前も言ったけど手を出したら殺すよ」
やっぱシスコンだぞこの人!
脅すくらいなら何で妹をモデルにしたんだよ。
「先輩ってバカとかアホとか言われません?」
「よく分かるね。全く、この数億年に一人の天才をバカとかアホとか皆見る目が無いね」
もうこの人怖いよ。
目が本気で言ってるんだ。全て真面目なんだ。
面倒すぎるので縁先輩にはお帰り頂いた。
「ふぅ、さて、コアちゃんの所に行くか」
どんな機能が付くのか不安でいっぱいだ。