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スライムダンジョンのダンジョンマスター 〜俺だけが召喚できるスライムを使って一大国家を作ります〜  作者: 白街
11章 

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だから僕は

 僕は両親から叱られたことは無かった。

 医者の両親の三男に産まれた僕は、両親の年がいった頃に産まれたから兄たちよりも愛情深く育てられた。


 人格に優れていた兄たちはそれを不満に思うどころか、両親たちと揃って小さな僕と遊んでくれた。

 十分以上に愛され大切にされていたと思う。


 しかし、幼い僕は医者を目指そうとする兄たちとそれを応援して厳しく指導する両親を見て、自分は期待されていない。だから怒られることもない。そうかんがえた。


 兄たちは中学から私立に進学したが、僕は公立。成績的に僕も受験していれば受かっていたのに、両親は受験を許してくれなかった。


 学校では友達も多く楽しかった。だけど、両親から期待されていないと思っていた僕はいつもどこか物足りなさを感じていた。


 試験で満点取って褒められても、ささくれていた僕は素直に受け取ることができず、両親にきつい態度をとることもあった。


 その頃には医大生になっていた兄たちが、どうしたんだと心配してきたが僕は無視をした。

 両親からの期待を背負っている二人が僕には眩しく見えたんだ。


 兄たちへの中身の無い劣等感と両親への反抗心を抱えたまま、僕は高校へ進学した。

 そして異世界、神聖国ウォルテニアに召喚された。


 ウォルテニアには、既に2人の勇者がいた。誠司さんと蓮さんだ。

 2人は転移魔法と勇者覚醒を使ってウォルテニアに勝利をもたらしていた。


 僕も勇者覚醒を使おうとした。だけど使えなかった。

 今まで何でもできていた僕の人生初めての挫折だった。あの時のウォルテニアの王族、貴族のゴミを見るような視線は今でも夢に見る。


 それからまるでそこに居ないかのような扱いをされた。これが本当に期待されない人間への扱い。

 同じく僕には期待していないと思っていた両親とは全く違う視線だとその時に気がついた。


 その後、誠司さんと蓮さんにどうやって勇者覚醒を発動できるのか教えを請うが、2人とも教えてくれなかった。


 勇者覚醒を使えるようになれば戦争に繰り出される。2人は僕が戦争に行かないために守ってくれていたのだと今では分かるが、当時の僕はただ二人が手柄を独占しようとしていると思ってしまった。


 この世界の僕の味方は、召喚された時に初めて出会った少女、セラさんだけだった。

 そんな僕の初任務がスライムダンジョン、エスリメへの転移だった。


 それも転移の座標決めの段階でバレて、誠司さんと蓮さんがダンジョンマスターと相談して寝返ることが決まった。

 そして僕たち勇者をウォルテニアへ縛り付ける人質の救出の際、僕は初めて人を殺した。


 ウォルテニアの兵士、僕は殺さないように戦ったが向こうが突っ込んできて心臓に深く剣が刺さった。


 モンスターは何度も倒したことはあった。だけどそれとは全く違う不快な感触。人を救う医者である家族とは真逆の行いで、僕は完全に家族との縁が切れてしまったような喪失感に陥った。


 落ち込んでいた僕をセラさんは怒った。


「私を助けた事を後悔しないでください!光様の痛みは私の痛みでもあるんです。だから、1人で抱え込まないでください!」


 人生で初めて怒られた。

 そして僕はこの世界見るためセラさんと旅に出た。


「光、光!」


 誰かが僕を呼んでいる。

 目を開くと雄亮さんが邪神の眷属と戦っていた。

 僕を守るように背を向けて戦っていた。


「すみません!どれくらい気絶していましたか?」


「5分も経ってない。早く立ってその剣を取れ」


 僕の側に刺さっていたのは、雄亮さんが今まで使っていた剣。初めて見たときから不思議な力を感じていた。


「この剣は」


「それは妖精の剣。妖精族に伝わっていた聖剣だ。お前の勇者覚醒の手助けをしてくれる」


 雄亮さんの言葉に応えるように妖精の剣がキラリと輝く。

 ゴクリとツバを飲み込み、緊張する手で妖精の剣を掴んだ。


『うむ、才は十分!』


「え?」


 突然知らない声が聞こえ、慌てて僕は周りを見る。


「その剣が話しかけてるんだ!そいつは考えて喋る剣なんだ。いいか!先輩と聖女だけじゃ決め手に欠ける。勇者覚醒を使ったお前に賭けるしかないんだ。頼んだぞ」


 頼んだぞ。


 産まれて初めて期待の言葉をかけられた。

 この世界で一番苦手……いや、嫌っていた相手から。


「雄亮さん。僕、あなたが羨ましかったんです」


「は?何だよいきなり」


「あなたからは何の才能も努力の欠片も感じられなかった」


「おい」


「でも、あなたの周りには多くの才能溢れる人たちがあなたに期待していた。そんなあなたが羨ましくてたまらなかった。そんなあなたに頼まれた!」


『おおお!湧き上がる!これが勇者の力ぁ!』


「だから、僕は」

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