ちょっかいかけるだけじゃないのかい!
先輩の鶴の一声で二手に分かれることが決定した。
俺、ソラン、ジョーカー、光のグループとシースナ、ソフィア、フィー、ピクリナのグループだ。
個人戦闘が得意なやつと、連携が得意なやつで分けたが、見事に男女で分かれたな。
「それではユースケ様、お気を付けて」
「ジョーカー、ユースケ様をちゃんと守るのよ!」
「ククク、フィー殿もすっ転んで攫われないように気を付けることですね」
「ムキィー!」
俺たちは、ジョーカーに煽られて猿のような声で地団駄を踏むフィーを横目に都市へ向かう。
「いってらっしゃーい」
「あれ?先輩も行くんじゃないんですか?」
「船の周りに簡単な結界をしとくよ。無いよりマシ程度だけど」
海底だからか、地面が嫌にジメジメ湿ってる。
ジョーカーがフィーをからかったみたいに転ばないように注意して歩かないと。
「そういや光は何で妖精族の大陸に行こうとしてたんだ?」
「ああ、それは聖女様が妖精族の大陸の方向から悪の波動を感じると言われて、その討伐にですね。あの海域に入った瞬間真下に巨悪の気配を感じると飛び込んで行ったんです。……すぐに触手に捕まってしまったんですけどね」
あの女、自分から捕まりに行ったのか?それとも勝てる算段でもあったのだろうか。
捕まってる時点で結果はお察しだが。
ていうか、悪の波動て俺たちのことか?もしくは剣に封印されたギギのことだろうか?
何も知らない状態で聖女に奇襲されなくてよかった。そこだけは邪神に感謝しても良い。
そんな事考えてると、ドームの方から爆音が鳴り響いた。
「ククク、エニシ殿でしょうか?ずいぶんと力任せな戦いをしているようだ」
「あれ?さっき船に結界をしてから行くって言ってませんでしたか?いつ追い抜かれたんだろう」
先輩は邪神相手に大立ち回りしているようで、ドームを光線が突き破った。
邪神の気を引く程度にちょっかいかけるのかと思ったが、思ってたよりガチで戦ってるな。
「あ、すぐ修復された」
「あれが封印の本体なのでは?藪蛇にならないようにできるだけ近づかないようにしましょう」




