チーム分け
「あ、そうだ!光、よくもエスリメを攻めやがったな!」
「あれは……すみません。僕も騙されてました。聖女様はただモンスターを倒したかっただけみたいですけど、僕は属国の人が虐げられてると言われていたので」
「他人の言うことをホイホイ信じてたら、生きるの楽でいいなぁ。え?」
「…………ごもっともです」
俺がねちっこく言うと、光はうつむいて謝罪してきた。
あれ?こいつ話に聞いてたより素直だな。クレイジー聖女に振り回されて、常識人になったのだろうか?
「さて、話を戻そうか。さっきタラッパ船長が行った通り、僕が邪神の気を引いているうちに雄亮君たちは生贄の二人を助けてほしい。毎回何かしらの仕掛けを解かないと生贄の間に行けないよう魔法がかけられてるから、こぞって知恵を振り絞ってくれたまえ。それと、邪神の眷属がこの都市をうろついてるから油断しないように」
「了解です。それじゃあ全員で動くのも効率悪いし、チーム分けするか。とりあえず船に残って非戦闘員を守るのは、アキト、イーナ、ジェイ、後はタラッパ船長たち。彼らは別の船の人員ですが護衛をお願いできますか?」
「自分の船だ任せとけ!それに妙な事件に巻き込まれた好だ!」
タラッパ船長が自信満々にドン!と胸を叩く。この世界の海の漢たちは強靭だな。
まあ、ダンジョンマスターが3人いるんだから、邪神本体が来なければ何とかなるだろう。
光たちの食料が尽きかけてたらしいので、食料の入ったアイテムボックスの魔法がかけられた袋を居残り組に預ける。
「光、お前もアイテムボックスの袋持ってるだろ?数日で尽きるなよ」
「自分たち用の食料は一ヶ月分入れてたんですけど……」
「容量無限で時間経過無しなんだから数年分入れとけ」
「お金が……」
「……」
勇者とは言へ、世知辛いなぁ。俺はアダマンタイトショックがあってから、もう数年味わったことのない感覚だ。
「それで?生贄探索のグループ分けはどうするんだい?」
「仕掛けを見つけるまでは二手に分かれてはどうでしょう?」
「しかし、人数を割いてはボスのまもりが疎かになるのでは?」
「邪神の眷属はせいぜいBランク程度の強さだから、その装備の雄亮君なら群れに囲まれても、一人でギリ対処できるよ」




