想像以上に強いタコ足
「とりあえず魔法撃ちますか?」
イーナと寄り添っていたアキトが提案してくる。ヴァイオレット、羨ましそうに見るな。
「とりあえずって、どうやって狙いをつけるんだ?」
「さっきチラッと船の下にタコの足みたいなのが見えました。雷系の魔法だったら多少ダメージ入りませんかね?」
アキトの言葉に思わず船縁まで走っていって船の下を見た。しかし、いくら目を凝らしても漆黒の海の中を覗くことはできない。
「アキト、お前の目すげえな」
この海からそこまでの情報を視たアキトの視力に心底感心して褒めると、アキトはへへっと頭を掻いてイーナはもっと褒めてあげて!と言いたげにキラキラした目をした。
これ以上褒めることはないが、本当にすごい。観察力が強いのか単純に視力が良いのか。
アキトの提案通り、全員で雷属性の魔法を撃った。海を伝って当たったのか痛がるように痙攣しながら巨大なタコ足が海中から飛び出してきた。タコ足、クラーケンか?
「でっけー」
「もらった!」
ソランとアキトがタコ足に斬り掛かるが、素早い動きでかわされた。逃げるタコ足をソランが飛んで追いかけるが、突如新たに現れたタコ足によって船に叩きつけられた。
「ぐぅっ!」
「大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です。しかし、あのタコ足、並のモンスターじゃありません」
「ああ。みたいだな」
今もタラッパ船長の号令で大砲が打ち込まれるが、砲弾に関しては打ち返される始末だ。ジョーカーとヴァイオレットが張ったシールドがなかったら転覆してたかも。
「くそ!打ち方やめ!おう!ジョーカー!嬢ちゃん!助かったぜ!」
「いえいえ、して船長。このモンスターはご存知ですか?」
「分からん!クラーケンにしてはデカすぎるし強すぎる!そもそもこのへんは生息地ですらねぇ!」
俺の予想はクラーケンだったがどうやら違うらしい。そういやクラーケンてイカの化け物だったかタコの化け物だったか……ゲームによって見た目が違うから分かんないな。




